初投稿でかつ、長文です。宜しくお願いします。
私がこの話を初めて聞いたのは小学校3年生の時、冬休みに町内会のスキー合宿に参加した時でした。
夜に引率の大人達もまじって怪談話し大会が開かれました。小学3年生の私にはどの話も怖くて、正直嫌でしかたなかったんですが、好奇心が勝っていて、ずっとその場にいました。
『Aちゃん、なんか怪談ない〜?』
怪談大会を仕切っていた大人が、中学生のAちゃんに話を振りました。
A『ヤバイ話しはあるけど…本当にヤバイいんだよね…』
『お!なに!なに!』
A『この話はね、昭和58年に私が通っている中学校で実際にあった話らしいの。みんな、本当に聞く?聞くと本当にヤバイよ?』
『なんだよ!勿体振るなよ!』
引率の大人達はノリノリです。
A『じゃあ話すね…』
私は怖くて話の大半、耳を塞いでしまいました。私が聞いた部分を繋ぎ合わせる限り、話の概要は以下の通りです。
昭和58年、当時の○○○中学校の2年生に『マー坊』というあだ名の生徒がいました。
マー坊はアトピーが凄く、常にオドオドしていたので不良グループのかっこうのイジメの対象でした。
殴る蹴る、カツアゲなんかは日常茶飯事。イジメの存在はその学年の人なら誰しも知っていることでしたが、皆黙認していたそうです。
不良グループといってもまだ中学生。先生にバレるのは怖いのか、イジメは先生が見ていないところで行われていて、先生はイジメの存在に気づいてはいなかったそうです。
ある日の放課後、不良グループはマー坊を技術室に呼び付けました。そこでマー坊を羽交い締めにして、電動ノコギリで指を切断するフリをしてからかっていたそうです。
そして悲劇が起きました。抵抗するマー坊を抑えつける中で、うっかりマー坊の左手の親指を電動ノコギリで切り落としてしまったそうです。
『ヤベェ!ヤベェ!』
と大慌てで不良グループは技術室から逃げ出したそうです。
次の日、学校は大騒ぎでした。マー坊が技術室で首吊り自殺していたのです。
しかも指が切断された手を壁になすりつけて
『呪ってやる 呪ってやる 呪ってやる』
と技術室の壁に書きなぐっていたそうです。そして不思議なことに、切り落とされたマー坊の親指は現場から見つからなかったそうです。
警察の捜査で不良グループ達の名前は上がっていたようですが、不良グループは『知らない』の一点張りを決め込んでいたらしく、結局警察も決定的な証拠が上げられず不起訴になったとか、そんな感じだそうです。
しかし、社会的制裁を免れた不良グループに数々の怪奇が起こり始めたそうです。
共通していたのは左手の親指が真っ黒く変色して腐り落ちることでした。
指が腐り落ちたその瞬間に『これ、僕の親指じゃないや。だって汚くないもんね〜ヒィハハハ!』というマー坊の声が聞こえたらしく、不良グループはどんどん憔悴していったそうです。
不良グループは特にアトピーが酷かったマー坊の指を『汚い』と馬鹿にしていたそうです。
きっと指を切り落とした時も『汚ねぇから切っちゃおうぜ』とか言っていたに違いありません。
憔悴していった不良グループは神社に駆け込みました。
そこでマー坊の呪いを鎮める方法を教えられたそうです。(お祓いも受けたようですが)
1:目を閉じる。
2:階段を降りていく自分を思い浮かべる。
3:階段の先に暗闇が現れたら、その中に入る。
4:扉を思い浮かべる。
5:それを左手で開ける。(手前に引く)
6:中に入ると草原になっている。
7:その草原からマー坊の親指を見つける。(ある場所は光るので分かる)
8:その親指を右手で握るイメージを作る。(自分の右手の親指を握る)
9:一気に草原から入ってきた扉に走る。扉は左手で押し開けないといけない。
10:後ろから影が追ってくる。
12:捕まったと思ったら、始めからやり直し。
11:無事に草原から逃げられたと思えたら成功。
概要は以上です。
何故これで呪いが鎮められるのか、不良グループがその後どうなっていったのかということは耳を塞いでいたので聞いていませんでした。指が腐り落ちる過程も、Aちゃんは細かく語っていましたが、聞いていませんでした。
Aちゃんはこう最後に言いました。
『この話を聞いた人はね、さっきの呪いを鎮める方法を実行しないと呪われて左手の親指に異常が起こるらしいの…私も聞いた時は必死にやった。馬鹿にしてやらなかった友達は親指に黒いブツブツが出来て指がちゃんと動かなくなっちゃったの。』
『おいおい、マジかよ!』
怪談大会に参加してた人達が騒ぎ始めました。いい大人も完全にパニックになっています。
私が耳を塞いでいた辺りが、凄く怖かったらしいです。大人がパニックになっている中、子供だった私達がパニックにならない訳がありません。
ワンワン泣き出す子、泣きながら必死に瞑想方法を確認する子、様々でした。
私も『全部聞いてなかったけど、やらないといけないのー!?』とAちゃんに詰め寄っていました。
結局怪談大会にいた全員が呪いを鎮める方法をやりました。
時が経ち、私は中学2年生になりました。
Aちゃんが通っていた学校とは別の学校です。同じ町内ですが、Aちゃんが通っていた○○○中学校と、私が通っていた○○中学校に住んでる場所によって分かれるのです。
私は柔道部に所属していました。競技人口が少ないので、市大会で戦う他の4校の選手とも自然に仲良くなっていました。
中学2年の夏休みに市内にある高校で合同合宿がありました。○○○中学の連中も一緒です。
男子用の大部屋に女子も呼び、夜に自然と怪談話大会みたいな雰囲気になりました。
『怖ーい!』と女子(柔道部なんであまり可愛くはないですが)がキャッキャするので、私のテンションは上がります。ここで超怖い話が出来れば目立つこと間違いなしです。
マー坊の話を思い出しました。
私『そういえばさ〜、○○○中にマー坊っていう怖い話あるよね?知ってる?』
そういった瞬間、○○○中の連中の顔が真顔になりました。
○○○中の人『やめろ、お前』
私『あ、やっぱ知ってんだ〜。ヤバイよな、あの話。超怖かった。』
○○○中の人『そんな軽いもんじゃねーよ、あれは。マジでやめろ。』
こんな反応が返ってくるとは予想外でした。中3になった私の解釈としては、マー坊は集団パニックを利用した巧妙な作り話という認識だったのです。
他にも『呪われる』と言って、難しいことをやらせてパニックに導くような話しは全国にいくつかあるのも知っていました。その類いだと思っていたのです。
○○○中の奴から話を聞いていくと、マー坊は実話らしく、事件の後に技術室があった離れの一画も取り壊されて、今は更地になっているそうです。そして数年に1回くらいは、マー坊の話しを聞いた人が奇怪な現象に見回れて問題になるそうです。
そこまで聞いて、マー坊の話を知らない人が黙っている訳ありません。
『聞かせて!聞かせて!』と大盛り上がり。女子達も『やだー』とか言いつつも、立ち去ろうとはしません。好奇心が勝っているようでした。
私も全部は知りません。マー坊の完璧バージョンが知りたくなりました。
他の中学の連中と○○○中の人達に詰め寄りました。
○○○中の人『分かったよ。どうなっても知らねーからな。』
そういって○○○中の一人が、話すことを承諾しました。○○○中の女子は『私達は帰る』と言って自分達の部屋に戻りました。その行動が益々私達の好奇心を煽りました。
そして○○○中学の人が完全バージョンの「マー坊」を語り始めました…
つづきます
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話