中編3
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最後に見たモノ【壱】

突然ですが…。

あなたは自殺現場に遭遇した事はありますか?

プゥワァ〜ン

キィィィィィィィィーッ!

ブゥワッカーーーン!

自分達が聞いた、電車での飛び込み自殺はこんな凄まじい音でした……。

その日は土曜日。

半ドンなので帰りは学校の近くにある定食屋か、駅の立ち食いそば屋で昼飯を食うのが仲間内の恒例であった。

みんなで『江ノ島にでも遊びに行くべ!』と言う事になり、〇〇駅からモノレールに乗って行こうと決定!

そんな事で〇〇駅構内の立ち食いそば屋で昼飯となりました。

〇〇駅に着き、そば屋は反対のホーム。

流石に昼時とあって満員御礼であった。

数分もすると空き始め、みんなでそば屋のあるホームに向かった。

食い終わって、ふとホームの先端を見ると柵の前で男性が体育座りしてうなだれているのが目に止まった。

見ると大きなバックを持っていてスーツを着ているがシワシワ。

ルンペンのようにも見えた。

自分が見てるいると仲間が気付いて、

「あれ、乞食だべ。ホームに無断で入ってんのか?」

その男性に聞こえたらしく、スクッと立ち上がりどこかへ歩いて行った。

「バカ!お前の声、でけぇんだよ!」

みんなが食べ終わり改札を出てモノレール乗り場へ。

トラブルがあったらしく、ちょっと遅れていた。待つ事になるんで何人かが買い物に行くと言いだした。

買い物に行かない者は駅の前にあるマックに入る事にした。

一服しているうちに買い物軍団は帰って来た。

その中の一人が、

「さっきの乞食がいてよ、店のペンを勝手に使ったらしく、えらく怒られてたぜ!笑っちまった。」

するともう1人が、

「そうそう!そしたら目を真っ赤にして睨みやがんの!」

その場は馬鹿な事はするなと話し、呆れていた。

モノレール乗り場に着いてキップを買うその時でした。

プゥワァ〜ン

キィィィィィィィィーッ!

ブゥワッカーーーン!

けたたましい音が耳に突き刺さりました。

「誰か!飛び込んだぞぉ!」

いろんな叫び声が聞こえ、辺りは騒然としていた。

「ちょっと見て来る!」

やじうま化した何人かが行ってしまった。

そのうちにパトカーや救急車が続々と来て本当にやじうまだらけになってきた。

「ちょっと呼び戻しに行くべ!」

残った者でやじうま共を連れて来ようと改札に向かった。

改札を抜けると事故現場となるホームは早くも立ち入り禁止になっており近づく事さえ許されなかった。

「あっ!あそこに居た!」

指差す方向にやじうま共がいた。

しかし、様子がおかしい。

近づいて話し掛けると、

「飛び込んだの…さっきの……、乞食だった…。」

なんと先程会った男性だと言うのだ。

「何でそんなの知ってんだよ!」

馬鹿が電車の先端まで見に行ってしまい、死体を目の当たりにしちゃったらしく、見た奴等はぶるぶる震えていた。

「思わず…観ちまった…したら、有る筈の無い方向に顔があって……目があって……!」

そう言った奴は運悪く先程、男性に睨まれた奴だった。

「同じように目を真っ赤にして…睨んだ感じだった……!」

そこからは言葉にならず、震えるだけだった。

江ノ島行きは中止になり、バスで帰れる者は直ぐ様バス停に行き、別れた。

我々、電車しか方法が無い者は待つ事に……。

その時でした。

事故があったホームから警察官と一緒に歩いて来る制服姿の男性がいた。

「運転手じゃねぇか?」

顔を見て驚きました!

その人物は自分の従兄だったのです。

従兄はジェイアールの運転手をしていました。家も近所で幼い頃から可愛がってくれた本当の兄よりも頼りになる大好きな兄貴でした。

その従兄が肩を落とし、顔面蒼白で警察官と歩いていたが、声を掛ける事ができなかった。

続きます。

続きは従兄の話とその後の見た友人の話です。

怖い話投稿:ホラーテラー 濱っ子とうちゃんさん  

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