全然怖くない話ですが、自分に起きた本当の話です
中学生のころ、私は自転車通学でした
田舎なもので、片道15分の山道を遅刻ギリギリ、くねくねと巧みに曲がりながら通学していると、曲がった先、目の前にポツリと煙が浮かんでいたんです
今思うと不自然な煙でした。霧のある日でも、どこかで焚き火をしているわけでもなく、一番分かりやすい表現をするなら天気予報の曇りマークのような…
ですがその時の私は
『霧かな?』
とあまり深く考えず、寧ろ、曲がった矢先に目の前に煙があったものですから、避けることもできず、おもいっきりその煙を顔面に浴びてしまいました
においや感触はなく、本当にただの煙だったと思います
しかし、気になって自転車を止め、後ろを振り替えると煙はどこにもありませんでした
そこでも遅刻ギリギリだった私は『拡散したかな?』とあまり深く考えず、そのまま学校へと急ぎました
私「おはよう!!」
友「佐伯(私の名前)、ギリギリやったね」
私「うん、危なかった!!疲れた…」
友「宿題ちゃんと持ってこんからよ(笑)」
私「え?宿題?……あ!宿題忘れてた!どうしよう!」
友「…何いいよると?」
友人がきょとんとして聞いてきました
友「宿題忘れて取りに帰ったから遅刻ギリギリなんでしょ?」
友人曰く、朝早くに学校に来た私は宿題を忘れたことに気付き、『まだ間に合う!』と自宅まで宿題を取りに帰ったそうなんです
自分にはそんな記憶が一切ありませんでした
私「そう…だっけ?」
友「まさか取りに帰って宿題忘れたとか言わないよね…?」
カバンの中には自宅に置いたままだと思っていた宿題が入っていました
しかし、私には記憶が全く、しかも朝寝坊した記憶もない、遅刻ギリギリで慌てていた理由も思い浮かばないんです
結局、私の早めの痴呆が来たのだと友人から笑われて終わりました
それからしばらくして、私は一時期某オカルト小説にハマりました
そのオカルト小説の作者はブログで体験談を募集していたので、私は唯一の不思議体験であるこのことを語りました
すると、
『それは煙羅煙羅(えんらえんら)ではないでしょうか?煙の姿形の妖怪です。時には人の形をしているようですが…。煙羅煙羅に触れると何か記憶をとられてしまうようですよ』
あれは煙羅煙羅だったのか…と後々に妙に信じてしまうような体験でした。
怖い話投稿:ホラーテラー 佐伯さん
作者怖話