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中編3
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夢中

この話は実話です。霊的な話というよりかは、奇妙で謎の多い話ですので予めご了承下さい。

男性Aは最近、同じ夢を何度も見ていた。

その夢の内容とは、Aがまず道に立っている場面から始まる。

道に何かを待つかのように立ち尽くすA。道の周りを見渡すと、沢山の向日葵が咲き誇っている。天気は晴れていて綺麗な青色をしている。多少の雲はあるが、その雲が青空と見事にマッチし、いい眺めだ。

そんな風にAが周りを見渡していると、道の遠くから二人の人間が歩いて来るのが見えた。

Aは他には人がいない事に気が付いた。

二人の人間が近付いて来る。一人は大人の女性のようで、一人は男の子のようだ。男の子は小学生くらいだろうか?

どうやら親子のようだ。

Aがそんな事を考えている間にも親子が近付いて来る。

Aは驚いた。母親には顔が無くのっぺらぼうのようで、子供には顔が無い上、耳が三つもあるのだ。

異様な光景だ。

そして親子はAのすぐ横を通り過ぎて行く。

親子は何故かいつもAの横を通り過ぎるだけで、Aが親子に声をかける事もない。

親子がAの横を通り過ぎたところで夢は終わる。

このような夢をAは週に何回も見ていた。

何度も何度も同じ夢を見た。そしてついに、何かあるのでは?と思ったAは男性の友人に相談する事にした。

友人とはとある喫茶店で会う約束をした。A行き着けのコーヒーが美味しい喫茶店だ。喫茶店の中へと足を踏み入れるとコーヒーのいい香りがした。

友人は既に店内で待っていた。コーヒーを注文して。

Aもコーヒーを頼んで、少し懐かしい話しをしたりした。会っていきなり訳の分からない夢の話をして、相手の気分を損ねてしまってはと思ったからだ。暫くして話は本題に入った。

話しをしていく内にAは意外な事実を聞かされた。

なんと友人も同じ夢を見ると言うのだ。しかも週に何回も。

そして友人はこんな事を口にした。Aは後から思った。友人にやめろと言っておくべきだったと…

友人が口にした事とは、次にその夢を見たら、その親子に話しかけてみるという事だった。

そして暫く話した後、Aは友人と別れた。

何日か経ったある夜。Aは再びあの夢を見た。沢山の向日葵に囲まれた道の向こうから、いつものように親子が歩いて来る。

もう少しですれ違う。そう今まさにすれ違うという時だった。

母親の顔の、本来人間なら口のある辺りが裂け始め、みるみる内に大きくパックリと口の形に裂けたのだ。

Aに戦慄が走った。

そして口の裂けた母親は耳が三つある男の子にこう言った。やっと来たわね…坊や… と

そしていつものようにすれ違った。

翌朝目を覚ましたAはすぐに、夢の内容がいつもと異なっていた事に気付いた。

何故いつもと異なっていたのかはAには分からなかった。

そしてその日、Aの元にある情報が届いた。Aは内容を見て何が起こったのか理解出来なかった。あの時喫茶店で話した友人が行方不明だというのだ。

Aは事態を理解出来ないでいたが、ある事が気になった。友人が言っていたあの言葉…次にその夢を見たら、その親子に話しかけてみる…という言葉が。

Aはハッと思った。

昨日夢に変化があったのは、Aと友人が昨日同じ夢を見て、その夢の中で友人が親子に話しかけたから夢に変化があったのかも知れないと…

読んで頂きありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー 黒猫さん  

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