事件から数ヶ月後、起きるようになった現象…
今では聞こえないはずの笑い声や、人の悲鳴が聞こえたり、
森に居るはずのない少女が現れたり…
周辺住民は怖がるばかりでした。
そんな中、ふたりの青年が名乗り出ました。
有名な神社の息子、とその友達。
二人がなんとか真相を突き止めようと、屋敷に行く事になりました。
「行こう」
二人は屋敷に入っていきました。
屋敷内は妙に寒く、ひどく鼻につく臭いがしました。
カビやら血やら焦げ臭さやら…混ざった嫌な臭い。
二人は苦しげに先に進みます。
奥に行くと食堂や使用人の部屋がある。
…一向に何か起きる気配はない。
二人は顔を見合わせ、二階への階段を上がりました。
ーその瞬間、何かの気配がしました。
今までなかったその気配は、上に行くにつれ強くなります。
そして一番奥の部屋にたどり着きます。
他と違う異様な気配、そして臭い。
居るだけで苦しくなるような重い空気…
二人はふっ、と金縛りにあったようにある一点から動けなくなってしまいました。
足元を見ると、焦げていても分かるほどの血の染み。
…あの気配が近づくのを感じ、体を強ばらせました。
ー…い、…た、…て…
「「!!!?」」
突然聞こえた綺麗なか弱い少女の声に二人は驚きました。
すると目の前に、静かに少女が現れました。
「お…、い…、た…て…」
その後も彼女は呟き続けます。
だんだんと声ははっきりとしてきました。
「お、願い、たす、けて…」
そう少女は言っていました。
涙をポロポロこぼしながら、苦しみを訴えていました。
二人は胸が苦しくなりました。
みんな彼女たちを怖がるばかりだった…でも、彼女たちはどんなに苦しんで亡くなったのか?
考えずにいた自分たちが情けなくさえ思えました。
「ごめ、んな…」
苦しみと金縛りで震える声で、呟くと
少女は驚いて目を見開きました。
そしてまた涙をポロポロこぼすと、
「ありが…と、う…」
嬉しそうに少し微笑み、消えて行きました。
その日から彼女が現れたり、何かが聞こえたりすることは無くなりました。
…皆さんは見えない彼女たちのメッセージを聞かず、逃げてませんか?
彼女たちは怖がらせたい訳じゃなくて、分かって欲しいんだと思います。
廃屋敷からのメッセージを、あなたはどう捉えますか?
それはあなた次第ですが、少しでも知るきっかけになったら嬉しく思います。
ー終わり。
怖い話投稿:ホラーテラー 奏夜さん
作者怖話