「.....!!」
男は突然、まとわりつくような視線を感じた。
体のすみからすみまで、ありとあらゆる方向から視線がささってくる。
(何だ!?...気持ち悪!!)
それは、彼がいつものように仕事をしているとき、昼食を近くの定食屋で食べているとき、仲間と飲み会に行ったとき、そして、今、まさにこの瞬間。
(何なんだ一体!!?)
彼の精神は、限界にきた。
「おい!誰なんだ!いい加減にしろ!!。」
彼は、得体の知れない視線の正体にむかって叫んだ。
「どこからみてるんだ!!。」
一心不乱にあたりを捜す彼。
「何で見つからないんだよ!!!。」
彼がそう叫んでいる間にも、とぎれることなく視線は注がれている。
「あああああああ!!、.......ん?。.......!!?、誰だお前!!。」
彼は、視線の正体を見つけた。
「おい!!、誰だ、お前!!。」
.......。
「おい!、お前だよ、そこのお前!。」
.......。
「きずいてんだろ!!、おい!。」
.........ほら。
あなたですよ。あなた。
これを読んでるあなた。
彼は、きずいてしまったようですよ。
私たちのこと。
彼の住む世界は、本当であって、本当じゃない。
私たちにとっては、空想の世界。
でも、彼の住む世界は、彼にとって本当の世界。私たちには、たどり着くことの出来ない世界で彼は生きてきたのです。
でも、彼とあなたは繋げてしまった。
この世界と、彼の世界を。
どうします。
この話を消して、彼の世界との繋がりを絶ちますか。
信じられないって?。
あなたはわかってないだけ。分かろうとしても、絶対にわからない。
ほら、彼はまだ叫んでますよ。
「おい!、答えろ!!どうなってんだ!。」
彼に何て言うんですか。
お前の住む世界は作り物だ!!。
なんて、いったら彼はどうなるでしょう。
彼らの世界は、終わってしまう。
知ってはならない、真実を知ることによって。
「なんだ....どういうことだ.....」
ありゃ、聞かれてしまったようです。
彼は真実を知ってしまった。
もう、彼の世界は終わり。
.....他人事みたいな顔してますね。
あなたの世界も例外ではありません。
もし、あなたが真実にきずいてしまったら、
.......もう、きずいている人が居るようです。
あなたの居る世界の真実に。
この世界に終わりがくるのは、案外近いかもしれません。
怖い話投稿:ホラーテラー 青二才さん
作者怖話