僕の地元に、もうずっと廃屋のままの1軒屋があります。
ある日、後輩と居酒屋にいっていた時に怪談話をしていてノリでその廃屋に肝試しにいこうという話になりました。
正面からは入れないようになっているので(無理すれば入れます)裏の入り口から侵入します。
裏の入り口には南京錠がかけられている事を知ってたのでいったん家に戻って金槌をもってから向かいました。
裏口に廻る通り道に貞子の出てきそうな井戸があって、それがすごく不気味で通りすぎてからも何かが出てくるんじゃないかとやたら後ろが気になりました。
裏口につき南京錠を叩いて壊し、恐る恐る中に入ります。
金槌をとりに帰ったときに一緒に持ってきた懐中電灯で中を照らしました。
イスや机やタンス、台所には包丁などがあり生活感が残っていて不気味さを演出してくれるのかと思っていましたが、意外にも中はスッカラカンで何もありませんでした。
タンスなどがあれば中を調べたりできますが、なんせ本当に何もなかったので全ての部屋を調べるのに時間はかかりませんでした。
と、まぁこれは1階の話。
次に2階にいったのですが、3部屋ありましたがここも2部屋までは何もなかったです。
けっこー酔っていたのと何もないのとで全く怖くなくなっていた僕たちは特に期待もせずに最後の1番奥の部屋に入りました。
真夏でかなり暑い夜でしたが一気に体が冷えた気がしました。
酔いも本当に一瞬でさめましたね。
その部屋の隅には仏壇がありました。
恐らく家具やらがあり生活感の残った状態のほうが驚かなかったでしょうね。
なぜここの住人は仏壇だけを置いて出ていったのでしょうか?
まぁ出ていったのか亡くなったのか知りませんが。
どちらにせよ他の全ての部屋には何もなかったので当然最後のこの部屋も何もないだろうと思っていただけに不意をつかれて一瞬金縛りにあったかと思うほど体が硬直しました。
壁に遺影が飾られていてゆっくり近づいて見てみましたが、男か女かよくわかりませんでした。
後輩もそーとービビったらしく、「もう出よう」というので早足で退散しました。
そして自転車のところまできたんですが、後輩がカギをなくしたと言います。
廃屋の中で携帯をさわったりタバコも吸いましたし、何回かポケットには手を突っこんでいるでしょう。
となると、そのときに落とした可能性が極めて高いです。
次の日、仕事に行くのに自転車を使うしワイヤーのカギだから持ってる金槌でも壊せないしで仕方なくまた廃屋の中にもどり、カギを探しました。
最後の部屋以外さがしましたが見あたりません。
最後の部屋に入る前には色々と想像しました。
仏壇の位置が変わってるんじゃないか?
あるいは仏壇が忽然と姿を消しているんじゃないか?
あの遺影の人物が立っているんじゃないか?
遺影の人物の表情が変わってるんじゃないか?
冷や汗でなんだか寒くなりながら中に入りましたが幸いなにも変わった光景はなく安心しました。
かと言って長居もしたくないので急いで床を見わたしましたがカギは落ちてないようです。
パッと顔をあげて後輩をみると後輩が仏壇を指さしながら小声で
「○○さん!見て…!」
と言ってます。
そして仏壇をみますが何もありません。
「なに?」
後輩につられてかなぜか僕も小声になります。
「そこ…そこ!」
後輩に促されるまま仏壇に近づきます。
仏壇のお供え物を置くところに…
ありました。
自転車のカギが。
ダッシュで家を出たあと神社にいきお参りをしてからコンビニで塩を買ってお互いに振りかけました。
以上です。
話で聞いてもあんまりかもしれませんが地味ですが体験した僕自身は本当に死ぬかと思いました。
怖い話投稿:ホラーテラー ポンポンさん
作者怖話