私の友人から聞いた話。
日本には、いまだ数多くの城が残っている。
有名なもので言えば、姫路城、熊本城、名古屋城など、(他にもまだたくさんあるが、ここでは省略)皆さんも直接見てはいなくても、写真で見たり、聞いたりしたことはあると思う。
しかし、一部の城マニアの人たちは、そんな有名な城など、何十回と行っている。
では、そういった人たちは次に何処へ向かうのか?
誰も知らないような、人里離れた山奥の城へ、彼らは足を運ぶのである。
そこは、ほとんど人の手が入っておらず、ジャングルでも探検するかのような重装備で、彼らはお目当ての城へむかうのである。
だが、年間に何人か、そういった城探検に行ったまま、帰ってこない人がいるのである。
これが、その城にいった事が原因なのかどうかは分からない。
しかし考えてほしい。
そういった城の数々は、当然人の管理がされている訳がなく、その城から人がいなくなり、主がいなくなったそのときのまま、そこに残ったものがほとんどだ。
いうまでもなくそこは昔、人が住んでおり、城主である大名がおり、その家来がおり、そこで生活をしていたのである。
時には、敵に攻め込まれ、大勢の人がそこで命を落としているかもしれない。
つまり、そこでの人々の日々、そして生と死が、そのままそこに残っているのである。
そこに入れば、そこはもう別世界。当時の人々の思い、志半ばで討ち取られた大名の思い、そして、儚く散っていった武士の思い。そういったものが、その城にうずまいているのである。
そんな所へいくのだから、なにか起きてもおかしくないと思いませんか?
また、これはある城に訪れた家族の話。
その城は、(詳しい場所は分からない)近くに大きな野原があり、周りを柵で囲まれてるらしい。
遠くから歩きながら、城の外観をその家族が見ていると、一人テンションがあがり、先を走っていた子どもが、
「おかーさん、お侍さんがたくさんいるよー。」
と、野原ほうを指差し、興奮気味にかけ戻ってきた。
子どもに無理やり引っ張られながら、
(なんかショーでもやってるのかな?)
と思い、連れてこられた野原を見ると、そこには人の姿なんて一つもなかった。
「あれ?どこにもお侍さんなんていないよ?」
と子どもに尋ねると、
「おかーさん何言ってるの?たくさん居るでしょお侍さん。でも、けがしてる人もいるねー、ねてる人もいるよー、みんなすっごくつかれたぁー、って顔してるね。」
その家族は、すぐ家に帰ったという。
怖い話投稿:ホラーテラー 青二才さん
作者怖話