――深夜のファミレス
友人の相談に付き合っていた、と言っても解決はしたのだが。
先に言っておくと俺は「見える」側の人間だ。
解決したは良いがコイツは男のくせに話が尽きない。ほとんど一方的に喋ってくる。
俺等が店に入った時には客は居なかったが、いつの間にか2つ向こうのテーブルの丁度俺の真向かいに女が座っていた。
見た感じ美人だが生気が無い。そしてこちらを瞬きもせず無表情で見てくる。
気分が悪い…憑かれる前にここを出たいな…
しかし友人の話は終わらない。
「なあ、そろそろ出ようぜ?」
「えー?まだ話し足らねぇよ」
その後何度も帰るのを促したが、帰る気ゼロだ。
いつの間にか女は隣のテーブルまで来ていた。
流石にヤバいと思い
「悪い、明日朝早いんだった。帰るわ。お前も帰るよな?」
「いや、どうせだから朝までここで時間潰すよ、じゃあな」
これ以上いるのは危険だ…会計を済ませ俺は店を出た。
そして外から友人を見たら
真正面の今まで俺が座ってた席に女が座り
友人を凝視していた。
いや、それだけじゃない、隣にも居た…同じ女だ。
俺じゃ無かったのか?
そう思いつつ絶句してると耳元で
「あれほど言ってあげたのにね」
と聞こえた瞬間
俺は思い出した
この店って潰れてたはず…
目の前の店を見ると
暗い店内に友人が1人
周りをあの女に囲まれつつこちらに笑顔で手を振っていた。
怖い話投稿:ホラーテラー 春の使者さん
作者怖話