小学校の運動会。
最後の種目に地区大会リレーなるものがあった。
この村ではそのリレーに勝つとおめでとう会、負けると残念会という
地区ごとに公民館に集まる、子供会というものがあった。
昼、夕食を親たちが作り、子供達だけでゲームとかして遊んだり、
夜には花火大会、そして度胸試しというのがラストにある。
高学年がそれぞれ隠れてお化け役をやり、
低学年の私たちを驚かすという企画である。
場所は夜の公民館の外。
ちなみにここは古くからの村の共同墓地でもある為、かなり広い。
周りはほぼ街灯も無く、林でうっそうとしていた切り開いた山の中にあり、
登り坂になっている。公民館をちょっとでも離れると真っ暗で、
足下は土な為、結構歩くのに困難だったりする。
整備されてる墓とは違い、その当時はまだ土葬もあったし、
ちょっとした道があるだけで街灯は2,3本しか無かった。
それもかなり細く、暗い今でも切れそうな古い街灯とかね。
40cmぐらいに盛ってあるだけの土とかも多い。
苔むして崩れかかった墓石も多かった。
昼間塾もここでやるのでその合間に鬼ごっこをしてると、
間違って踏むこともあるし、古い墓石を倒すこともよくある。
夜になり度胸試しの時間になった。
もちろん怖い物の好きな私が「最初に行くー」と言いだした。
小さい懐中電灯と手書きMAPらしく物を渡され、
1人ずつ行く事になる。
通りから公民館の入る細い入り口からスタートであった。
あたりは最初竹藪ですでに真っ暗である。
1年生の私は怖い映画で結構慣れており、
白い衣装を着た「化けてやる~」と言いながら来るお化けに扮した
高学年が墓の間だから所々出てきても、泣きもせずに、
喜んでいたものだった。
特に最初のおじいさん顔がどあっぷで「こっちに来るな!」
と怒った顔が迫力あって映画みたいと思っていた。
しかし結果的にはゴール地点で最後、号泣きしたのである。
運動会の1ヶ月ぐらい前に話を戻す。
学校から帰ると祖父はなにやら喪服をきており、でかけようとしていた。
友達が亡くなったため葬式にでかけるとの事だった。
その家まで、父親と一緒に車で行き、20分ぐらいの場所に着くと
バスが止まっていた。どうやら斎場までマイクロバスで行くらしい。
バスに乗ると、助手席に誰もいなかったように思ったが、
助手席に乗っていたおじいさんに急に話しかけられる。
「○○さん(祖父の名前)の孫かい?赤ん坊の頃わしに逢ったこと
あるんだよ覚えてないだろうけど。」話はこれぐらいだったような気がした。
ずーとそのおじいさんは前を見ていたので顔は分からない。
収骨が終わると、父親が迎えに来たのでそのまま家に帰った。
約1ヶ月後ここの墓地に納骨に行くのも一緒に行った。例の共同墓地である。
度胸試しに話を戻す、高学年の子が泣く自分を見て
「ほら、この墓石触ったらゴールなんだよ。」
そう言ってなだめた。でも触れなかった。
最初にいたおじいさんの顔がものすごく怒るからだ。
その声はバスで、話しかけられたあのおじいさんの声で、
触る墓というのがそのおじいさんの墓だったからだ。
たぶんおじいさんは驚かす為に出てきたと思う。
その後夢で必死に謝っていたから
怖い話投稿:ホラーテラー 猫まんまさん
作者怖話