これは本当に長くなる話だ。忍耐強く心広いやつだけ聞いてくれ。
気がつくと、辺りは赤く染まっていた。
まずい。寝過ごした。
俺は急いで仕度をしチャリを全速力でこいだ。
待ち合わせの場所につくと待ちくたびれた表情の啓太と、こちらに向かってニコニコと手を振る春樹がいた。
「おせーよ。暗くなりきる前にって言ったのだれだよ。これだと完全に夜だぞ」
かなりご立腹の啓太を宥めつつ、目的の場所へと足を動かした。
「ねぇ、達矢。美弥さん来ないの?」
「美弥さん?こないよ。とゆか来るわけない」
「そう残念だな。今日行くところは本物らしいから2人いればきっとすごいと思ったのに」
春樹の言葉に少し引っかかりを覚えて、啓太に問いかける
「なぁ…今日行くのってさ。雛様の屋敷じゃねーの?」
雛様の屋敷っていうのは、廃屋に雛人形のお雛様だけが取り残されたこの辺じゃポピュラーな心霊スポットだ。
まぁ小学生も遊びに行くくらいだからそんなにヤバくはないんだが…
「いや…やっぱりよー最後の高校生活だからよ。すげーとこいきたいじゃん!!!」
「つまり、俺をはめたんだな?…ハァーんでドコなんだよ」
「…ボロいお社」
「帰る」
この時に、初めて美弥さんの忠告を聞いとけば良かったと後悔した。
ボロいお社とはあそこだ、神なし神社のことだ。
あそこは親から絶対に行くなって言われてた場所なのに
俺が方向転換してダッシュしようとしたら、春樹と啓太に両腕を捕まれ
そのままズルズルと引きずられた。
この2人はやると決めたら絶対に曲げないやつらだ。
俺は諦めて神なし神社についていくしかなかった。
ついたそこは、親が言うほど危険な場所には思えない…というか拍子抜けするほど普通の所だった。
すっかり日が落ち、腐った木が所々剥がれ落ちたボロい神社の風貌はさすがに気味が悪いが
今にも何か出てきますとゆーような気配はない。
まぁ雛様の屋敷程度。
きたーこぇーやべー!
と騒ぐ2人は早速中に入ろうと壊れかけた扉をさらに壊そうと頑張っていた。
「ばか壊すなよ。祟られんぞ」
「おー開いた!」
まぁ…もう細かいことは言わない。
俺は嬉々として入っていく2人を追いかけた。
怖い話投稿:ホラーテラー Mr.ABCさん
作者怖話