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中編4
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恐怖の肝試し

これは私が初めて怖い思いをした話です。

中学3年の夏休みに中学校生活最後の思い出作りの為、担任含めたクラス全員でキャンプをする事になりました。

キャンプ地は地元の海で近くには山頂に灯台のある小さな山がありました。

3時頃到着した私達は、男子は数人のグループに分かれテントを張り、女子は食事のカレー作りの準備にかかります。

キャンプの内容は

食事→キャンプファイヤー→花火→肝試し

いわゆる王道と呼ばれるものです。

みんなで作ったカレーを食べキャンプファイヤー・花火と終わり、いよいよメインイベントの肝試しの時間がやって来ました。

肝試しは男女2人のペアで、くじ引きの結果私は密かに思いを寄せていたB子!

…ではなく、我が儘でヒステリックなA子とペアになってしまい頭を抱えていると、周りの連中はニヤニヤしながら見ていました。

A子は可愛い部類には入るのですが、思うようにならないとすぐヒステリー起こすのでみんなから敬遠されてました。

ルートは灯台のある山を前の組が行ってから10分後に出発、灯台付近の看板の下に用意した記念のキーホルダーを持って、もう一つの道から降りて来るというものです。

私達は最後の方で、A子は行く前から「なんであんたと!?」だの「脅かしたり逃げたりしたら殴るからね!!」 などと散々脅かされました。

そうこうしているうちに私達の順番になり、私は懐中電灯を照らしながらA子をエスコートしました。

砂利道を登りながら私が

「暗いから気をつけろよ」

と声をかけるとA子は

「暗いと思うなら私に懐中電灯貸しなさいよ!」

「じゃあ先歩いてくれる?」

「はぁ?馬鹿じゃないの?どこの世界に女を先に歩かせる男がいるのよ!!」

と相変わらずな様子なので、1いえば10返ってくるA子には口じゃかなわないと思い黙って歩きました。

灯台まで登ったところでA子に声をかけますが反応がありません。

ふと周りを見渡すとA子の姿がなく、隠れてるのか?と思いながら呼んでいると、少し戻った先に女の人が立っていました。

暗闇の中ハッキリと見える女は、透き通るような肌長い髪に全体的に白っぽい服装のとても綺麗な人だった。

明らかにこの世の者ではないと私は驚いて立ち尽くしていると、その女の人は

「女の子を探しているの?」

と優しく微笑みながら話しかけてきました。焦りながらも私が頷くと

「私に付いてきなさい…」

と小さな声で言いました。

その笑顔に少し戸惑っていると、私を見つめるその女の人は

「急がないと女の子が危ないわ…」

その言葉を聞いて私は『自分が付いていながら』という責任感から女の人に付いて行くことにしました。

道を逸れて暗闇の中、懐中電灯の明かりだけを頼りに草薮を掻きながら急ぐと開けた場所に辿り着き、そこで女の人の姿が消えました。

私は暫し呆然としましたが、ハッ!と気づき明かりを照らしながら辺りを見渡すと、そこにはA子が倒れていました。

私が駆け寄るとA子は気絶していたようで、何度か頬を叩くと「う…ん…」と呟きながら目を覚ましました。

「A子大丈夫か?俺が分かるか?」

と話しかけると、A子は何か思い出したかのように私にしがみついて言いました。

「◯◯(私)の後を付いて歩いていたら目の前に知らない女が現れて◯◯を何回も呼んだのに気づかないで…」

と言いかけた後、私の後ろを指差しながらもの凄い声で叫びました。

振り返った私は凍りつきました。

案内してくれた女の人が佇んでいたのですが、先程の優しい顔をした面影はなく、ボロボロの服装に全身ずぶ濡れで白目を剥きニヤリと笑っています。

「ウフフ…二人とも逃がさないわよ…」

と近づいて来ました。

私達は狂ったように叫びA子の手を握り逃げ出しました。

走ってる私の耳元で女の笑い声が聞こえますが、振り返ったら殺されると思い一心不乱に逃げました。

灯台に近づくと女の気配が消えたので手を握ったA子の方を見ると

「逃がさないっていったでしょ…」

私が手を握っていたのはA子ではなく、ボロボロの姿の女でニヤ〜ッと不気味な笑顔を向けていました。

恥ずかしながら私はそこで気を失ってしまいました。

気がつくとテントの中で、先生やみんなが心配そうに覗き込んでいました。

「A子は!?」と私が叫ぶと先生が

「A子はあちらで眠っているよ。一体何があったんだ?」

と問いかけてきたので、私は見たことを全て話ました。

聞くとあまりに遅い私達をみんなで探していたそうです。

灯台から少し離れた所に私とA子は並んで倒れていたとの事でした。

その夜は寺の息子のCにお経を唱えてもらいましたが、一睡も出来ませんでした。

朝方外に出るとA子がいて

「昨日は助けてくれてありがとう」

と俯きながら照れたように言いました。

結局あれが何だったのか分かりませんでしたが、一つ分かった事はA子は『ツンデレ』だったのか!という事(笑)

帰った後私とA子は2人仲良くお祓いに行きました。

最後まで読んで下さりありがとうございました。

怖い話投稿:ホラーテラー バジリスクさん  

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