これは僕が高校の時、友達と「神社」に忍び込んだ時のお話。
肝試しではない。なぜそんなことになったかと言えば……少し長くなるけど理由があった。
僕は専門の知識はないので全て聞いた話。間違っていたらごめんなさい。
神社などにはよく「御神体」といわれる「何か」が祭られている。
ただその「御神体」が一体なんなのか、どういうものなのか、それはその神社の代々受け継がれる神主しか知らない。
よく神社などの何かしらの行事で祭壇に「鏡」が祭られていることがありますよね?
知識(ってか常識なのか?)がない僕はなぜ鏡を祭るのか? と思っていたけど、あれは「御神体を数日間映した鏡」らしい。
御神体は神主以外の人間が見ることは禁じられているそうなので、その変わりということらしい。
そこまでして隠されている「御神体」って………ハッキリいって気になりますよね?
一体どんなものなのか…。
これはうちの親父達も気になっていたらしく、昔町内の飲み会の時に地元の神主さんも来ていたそうなので、酔った勢いで聞き出そうとしたらしい(笑)
そこでその神主さんにガンガン酒を飲ませ、正体を聞き出そうとしたらしいのだが、いくら飲んでべろんべろんに酔っても御神体の正体だけは断固として教えてくれなかったそうな(まぁ他に面白い話もたくさん聞いたそうだが(笑))。
一体御神体ってなんなんだろうか…もしかしてよくある河童のミイラとか? はたまた刀とか??
むぅ……気になる…。
と、まぁこんな話を遊びに来ていた友達にゲームをしながら冗談半分に話してた。
長くなったけどここからが本題。
ここからはその友達を仮にAとする。その話をするとAは
「へぇ………」
と怪しげな笑いを浮かべると、
「その神社って近い?」
と聞いてきた。その神社は僕の家から歩いて5分とかからない場所にあった。
「近いけど………まさか…」
「あぁ。今日の夜いってみようぜ。だから今日は泊めてくれ(´∀`)」
こんな感じで、なんとも罰当たりな探検が始まった。
僕も当時はバカだったので「んなことしたら絶対罰があたる!!」と思ったけど、好奇心と神社だったら罰はあたっても幽霊の類は出ないだろうっていう感じで話に乗った。
僕とAは0時になるのを待ち、懐中電灯とビデオカメラを持ち神社に向かった。
神社につくと、やはり神聖な場所とはいえ、夜の闇がものすごく僕の恐怖を大きくした。
だけどずんずん進んでいくAの影に隠れるように僕も神社に入っていった。
僕の地元はかなり田舎なのでほとんど鍵をかける習慣みたいなのがない。
神社の本堂(?)ももちろんなんなく扉は開いた(笑)
ここまでは順調。Aはここからビデオカメラを回し始めた。
本堂の中は正月などに毎年入ったことがあった。中はそんなに広くない。壁にはいろんな絵や文字を書いた紙なんかが飾られている。
まぁ年に一度しか見ないとはいえ、毎年入っていたので見慣れてはいた。だけどやっぱり怖い。
Aと僕は靴を脱ぐと、目の前にあった賽銭箱にとりあえず今から罰当たりなことをするのに、「罰当たりませんように」と賽銭を投げ込み、なんともバカな願いをお願いした(笑)
A「んで…どこにあるんだ? 御神体は?」
僕「確か…あの扉の向こう」
僕は奥の扉を指差した。
本堂の奥には「いかにも」って感じの古くさい扉があった。
親父の話によればそこから先は神主さんしか入れず、御神体はその扉の向こうに…ということ。
僕らは懐中電灯を取り出し扉まで進んだ。
僕「………あ」
A「……まぁそりゃそうか」
扉には大きな南京錠がかかっていた。しかもその数3つ。どれも太い。
まぁ普通に考えてみればそんな大切に祭ってあるものをそんな適当に置いておくわけがない。
僕はなんとなく安心した。残念な気持ちもあったけどこれでもう帰れる。
僕「しょうがない。帰ろうよ」
A「……まぁ。予想はしてたからね」
そういうとAはポケットからドライバーを取り出した。Aはそれを南京錠の穴に無理矢理突っ込んだ。
僕はそれを見て少し引いた(笑)
だけど素人なんかに開けることなんてできるわけもなく…無駄な努力に終わる。
Aも諦めて「なんだよ!! つまんねぇなぁ」と軽く扉を蹴飛ばした。その瞬間に
ガコッ
僕らが驚いてその音の方を見ると、扉の隣にあった祭壇の上の飾りみたいなのが落ちていた。
僕「お前絶対バチ当たるよ……」
と僕が言うとAは
「おい。あれ見ろよ」
とその飾りが置いてあっただろう場所を懐中電灯で照らしながら指差した。
飾りが置いてあった場所の影には小さなお札が貼ってあってそのお札の真ん中に黒い穴が空いていた。
まさか……と近づいてみると間違いなく壁に貼ってあるお札には穴が空いていた。手を当てると風が抜けてくる。
A「この壁の向こうってことは……」
僕「扉の向こう……御神体がある…」
その穴は五百円玉くらいの大きさで二人一緒には見られない。そこでAはビデオカメラをその穴に当てると横の画面を開いた。
これで二人一緒に見ることが出来る。
A「見るぞ」
僕はものすごく緊張した。ついに…御神体が見れると。
最初に画面に映った映像は真っ暗だった。Aは少しずつカメラの感度を上げていく。やっぱり肉眼で見るよりは見にくい。
だけど一人ずつ見る自信はなかった。きっとさすがのAもビビっていたんだと思う。
するとボンヤリと部屋の中が映りだした。部屋は結構広くてがらんとしていたが奥に大きな祭壇があった。
祭壇は扉が閉まっていて、これまた大きな南京錠がかけてある。
A「なんだよ!! 結局これかよ!!」
とAが怒って体を揺らすとカメラの視点がずれて中の地面を映した。するとボンヤリとだが中の部屋の中央に白いなにかが落ちている。
よく見ればお札だった。しかも普通じゃない。よくマンガとかで見る人型のお札だ。こんなとこにお札……?
と不思議に思っていると、いきなりすごい寒気がした。その瞬間体が動かなくなる。
「金縛りだ」
Aに助けを求めようとしたがAもカメラを壁の穴に付けたまま少しも動かない。まさかAも? 僕はカメラの画面を見たまま動けなくなった。
するといつの間にかカメラの画面には…女の子? が映っていた。心臓が止まるかと思った。カメラごしでも白く浮かびあがって見えた。
その女の子は白い着物であのお札があった場所でうずくまって泣いているように見えた。
どのくらい時間がたったかはわからないけど…実際はすごく短かったんだと思う。その女の子は静かに消えた。僕が心の中で安心した。
その瞬間
ビデオの画面いっぱいに人間の瞳が映った。
「うぁぁぁぁぁ!!!!!」
と僕は悲鳴を上げると、情けないが腰を抜かしてしまった。Aもカメラを落とし、足が崩れた。
カメラが落ちると穴からは穴いっぱいにさっきの目があった。
その目はぐるんぐるんと瞳を回し確実に生きている人間じゃなかった。
するとその目は僕達を見て動きが止まった。
その途端、
かごめ かごめ
籠のなかの鳥は
いついつ出会う
頭の中に歌が鳴り響く。
夜明けの晩に
鶴と亀が滑った
後ろの正面
だぁれ
そこまで終えると、壁の向こうから
「ゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲゲ!!!!!!」
と張り裂けるような笑い声が聞こえた。
僕はそのまま気を失った。
僕はそのまま気を失った。
気付いたら知らない部屋の布団の上。
起き上がって襖を開けるとそこには、AとAの両親、そして僕の両親と神主さんが。
もちろん神主さんにめちゃくちゃ怒られた。
なんでも朝本堂に入った神主さんが倒れている僕らを見つけたらしい。
僕らは小一時間怒られたあとに別室につれていかれ神主さんと三人だけで話をした。神主さんに罰当たりな一部始終を話した。
たが神主さんは「おかしいな。そこにお札なんて貼っていない」と言う。
僕らがあまりにも嘘だ!! と言い張るので本堂に行ってみたが本当にない!!! 穴すらなかった。
僕らは唖然としていたが、神主さんは
「まぁ御神体を見ようなんてして罰があたったんだろうな」
と言ったが、僕はどうしても納得いかず、
「部屋はがらんとしてて奥には祭壇があった!! 部屋の真ん中にはお札があった」
と話すと神主さんの表情が変わった。
「そうだ! ビデオ…」
Aはそういうとビデオカメラを持ってきて神主さんと三人で見ることにした。
ビデオには本堂に入るところから一部始終が映されていたが…あのAがお札を見つけて穴を見つけるところ。そこから異変が起きた。
僕らは何もない場所にカメラを当て、画面は真っ暗のまま。そこから音声が僕らのしゃべり声からだんだんと………
後ろの正面だぁれ
後ろの正面だぁれ
後ろの正面だぁれ
後ろの正面だぁれ
と女の声で壊れた機械のようにひたすら歌っていた。
「……なんだよこれ」
僕が言うと神主さんはカメラを取り上げ、電源を切った。
「……………御神体はな。大切に祭られているものだ。いたずらや悪ふざけで目にしていいものではない。このことは忘れて決して誰にも話すな。いいか。絶対に話すんじゃないぞ。これは私があずかる。そして二人、お祓いをして上げるから来なさい」
そこから僕らはとりあえずお祓いをしてもらい帰宅。
数日後会ったAと話をした。
僕「あれ一体なんだったんだろうな……」
A「いや…でも俺もお前も確かに見たよな? 夢じゃない」
結局、御神体の正体もあれはなんだったのかもわからず仕舞い。
だけどこの話は僕らの中で伝説である。
ひょっとしたら、あの神社にはなにか大変なものが祭ってあるのかもしれない。
あの女の子は御神体と何か関係があるのか?
そして今でも「かごめかごめ」を聞くと本当に怖い。
後ろ正面だぁれ
あの時…僕らの後ろにはなにかがいたんだろうか?
………もし
振り返っていたら?
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話