拝み屋のばあちゃんから聞いた話です。
五年ほど前に人づてにウチに相談者が来た。
まだ若い夫婦だ。
内容は夜中床に着いて眠っていると、畳の下から声がする。
夢かと思い身体を起こすと声は聞こえない。
しばらくは無害であるし、何かの確信もなく放置しておいた。
そんな状態が半年続いたある日、妻が急に首を押さえて唸っている。
埓が開かないので、医者に連れて行くが良くならない。
夫は多少の霊感がある事から床下からの声との関連を思い描き、懇意にしている寺に連絡を入れる。
到着後、お経を唱えて貰うと少し楽になったようだ。
和尚は何かしきりに心配をして、すぐにばあちゃんに助力を請い、連絡を寄越した。
翌日訪いが入り、すぐに見る。
ばあちゃんは原因をすぐに見てとって、夫婦の家に向った。
まっすぐ件の部屋に向かい、畳を剥ぐって、すぐに床下を掘るように助言した。
カッチカチに基礎がしてあり、コンクリで固めてある為不可能である。
掘り起こす事は諦め、その部屋で一晩過ごして聞いてみるとばあちゃんは一泊した。
翌日ばあちゃんの指示で夫婦と海に行った。
海の石
これを取りに行ったのだ。
海の石の中から穢れのないものを選び、そこに原因を入れるという事らしい。
原因は昔戦で倒れた侍の魂。
倒れた後、最後に首を取られる際に相当辛い思いをしたらしい。
首を獲られる覚悟はしていたが、脇差が首に少し食い込んだ段階で放置された。
おそらく首を獲ろうとした足軽か何かがその動作の最中で流矢が何かで絶命したとの事。
その事で大変辛い目に遭ったようだ。
まだ僅かある意識のなかなかで、首から血を流した状態で身体を起こすと、調度彼の主君が敵に囲まれ、馬から降ろされている姿が見える。
大変忠義心の強い彼の眼前で耐え難い気持ちのまま絶命した。
その光景を昨夜夢の中で見たばあちゃんは武士を石に祀る事にした。
念入りにより綺麗な角のない岩のような大石を選び、夫婦とその両親や友人と、事情を話して手伝って貰った地元漁師(ばあちゃんと懇意にしており親交があり、ばあちゃんを崇拝している)でトラックに載せた。
神主に依頼し、ばあちゃんと共に祝詞を挙げ、夫婦の家の庭を占拠するような存在感の大岩が庭石になった。
数日して、立派な日本刀を借りて来て、ド下手ながら夫に刀を持って舞をさせたそうだ。
以後この家の中からうめき声はなくなったそうだ。
さらにそれだけでは終わらない。
今ではこの巨大な大岩は御神体として活躍?している。
大変な労力と手間をかけた上、色んな人を巻き込んで、おまけにオカルトチックな、まるでカルトのような剣舞をやった主人の守り神になったようだ。
夫は脱サラをし、今30億を越える年商を誇る会社の社長をしている。
岩の周りには垣根と鳥居が作られ、存在感を増しているそうな。
夫婦には幼い男の子が生まれ、現在四歳。
最近霊感がある事が判明。ばあちゃんが会ってみると座敷わらしがついていると分かった。
なんでも侍の魂は夫の商売には関係ないらしい。というのも気位と忠誠心の塊の神様である彼は商売に関する力は一切ないそうだ。
ただ、強烈な守護の力があり、仮に彼を呪おうとしたり手を出そうとしたら必ず首にまつわる死因で落命するとの事。
侍は昔座敷わらしをしていた童の霊を呼んでこの家に居つかせたらしい。
その座敷わらしの力で商売が繁盛しているという事だ。
四歳の息子は侍は見えないようだが、よくお手玉をしたり、ポケモンカードでメンコのような事をしたり、1人かくれんぼ?をしているらしい。
ばあちゃんはあんまし相談者の話はしないけど、ハッピーエンドで誰も傷ついたり、人の黒い部分が出てこないような数少ない話だよ、とこの話を聞かせてくれた。
せっかくなので余談と蛇足を
ばあちゃんに質問して聞いた事です。
座敷わらしは子供の霊だけど、妖怪とか神様とか精霊の類に入るそうです。死んだ子供がなるんだったら、そこら中が「だらけ」になるそうです。
いきさつがあって、なるようですし、悪い方に転がれば悪霊や怖いカミさまになってるらしい。
あまりないケースで無邪気で善良な座敷わらしになるとの事。
理解は出来ませんが。
石(特に海と川の石)は絶対持ちかえるな、あと神社にある自然物もだめだそうです。
TVに出ている霊能力者について聞きました。
誰一人まともな人は出ていないそうです。
スピリチュアルな肥満体はどう?と聞くと
「あの人は多分昔は、本当に昔若い時分にはあったんじゃないかな。
でも欲のせいでだんだん聞こえなくなったり、見えなくなったりしている。
だから今悪いのが沢山憑いてしまってるのさえ分からないだろうね、多分
残念な事だよ。
欲さえかかなければ、立派なその道の人になれたのに」
だそうです。
他にTVに出てる人は?って聞くけど、
「あんまし人様の事を無理に知ろうとするもんじゃないよ。それより身近な人を大切にする事を考えなさい。あんた結婚するんでしょ?」
と説教が返ってきた。
ただ、某幹事長だけは良くないと言ってました。
顔つき云々ではないそうです。
今まで誰かを死、またはそれに準ずるような苦しみに追い込んでいるし、近い将来必ず大きな事件を起こす。
何か凄くよくない事を企んでいるのは分かるけど、黒い霧のようなもので見えないらしい。
さらに力のある人が見れば怖くて直視出来ない程だそうです。
悪い意味で大人物なんだな、と思いました。
神社で御守りを頂くとき、参拝する時。
絶対に自分の為のお願いをしないようにする事。
意味がないからだそうです。特に大きな神社程。
人は繋がりで生きていて、人の信頼や絆で神様も力の一部を得ている。だから人の幸せを願う事にしなさいと。
要は友達と行くならお互いが相手の為に願い、相手の為に御守りを貰えばいいみたい。
僕はばあちゃんは信じてるけどこれは納得してはいない。いざ、賽銭箱の前に来るとやっぱ自分の為に手を合わせる。まあ嫁になる人の幸せは願うけど。
あっ、ついでにギャグのつもりで某国の首相についても聞いてみた。
「あれは何も考えていないだけ。別に悪意がある訳でもないし、人間としてはいい方だよ。友達には歓迎すべき」
と返答があった。ちょっと首相を見直してしまった。
霊の話なら沢山あるはずなんですが、あんまし気持ちのいい話しはないんでしばらく投稿は控えますね。
他の人のお話を楽しく読ませて頂くとき形に戻りますね
怖い話投稿:ホラーテラー 松葉さん
作者怖話