俺が生まれて初めてバイトに行った時の話しです。
家の近所にあるスーパーの大掛かりな棚卸しで3日間だけの仕事でした。
初日
休憩室に自分を含め十人くらい集まっていました。
初めてのバイトで知り合いもいなく携帯をいじって仕事が始まるのを待っていました。
他の人達は友達なのか3グループくらいに別れて話しをしています。
休憩室で孤立しているのは俺ともう一人。
暗そうな感じの女の子。
歳は俺と同じくらい。
何故か俺の方を見てる。
なんとなく、うっとおしい視線でした。
なにか手違いがあり、仕事が始まる時間が一時間くらい遅れると責任者の人から説明がありました。
責任者が出て行った後、周りは軽いブーイング。
俺もなんだよと思い携帯を眺めてました。
すぐ横から視線を感じ見ると、あの暗そうな女の子がいる。
いつ近くに来たか全然解らなかったのでドキっとして携帯を落としてしまいました。
その子は携帯を拾い上げ同じ機種…。
と独り言みたいな感じで呟き俺の携帯を見ています。なんとなく自分から返してはくれないような雰囲気を感じて、ああそうと言い携帯をその子の手から少し強引に取りました。
なんか悪い気がしました。自分は女の子には優しいのに。
その子は自分の携帯を鞄から出して俺の手に押し付けてきます。
それは俺と同じ機種の色違い。
ああ、同じだね。
そう言っても、まだ手に押し付けてきます。なにがしたいか解らなかったけど携帯を受け取り困っていると、その子は開けてみたいなジェスチャーをします。
携帯を開くと俺と同じ機種なのでお馴染みの画面。
ただ色違いの他にもう1つ違う所がありました。
ボタンの4の所が何かで塗り潰されています。
他に話す事がないので聞いてみました。
なんで4の所だけ塗り潰してんの?
するとその子は笑いながら嫌いだから…
話しが続かない。
えーと、なんで嫌いなの?と聞きました。
そこからその子の話しを聞かされる事になりました。
4は嫌い…
見るのも嫌…
4は全て悪い事に繋がる…死とも読めるし…
4つ辻って冥府つまり死の世界に繋がってる…
だから病院では出来るだけ4つ辻を作らないようにしてる…
エレベーターなんかも同じ、4がないのは死階で止まらないように…
まぁたまに4があるやつもあるけど…
その子は一人で喋り続けました。
俺は、なんなのこのオカルト女は?と厄介な奴と関わってしまったと後悔しました。
そんな俺の考えを察したかのように、携帯を俺の手からひったくり呟きました。
ここの4つ辻は酷いよ…
それだけ言って俺から離れて行きました。
ポカンとしていると責任者が入ってきて今日の仕事は中止だと告げました。
でも今日の分のバイト代はちゃんと出るとの事でした。
なんか居づらかったからすぐ帰る事にしました。
早足で店を出て帰り道にあの娘の言ってた事が気になり交差点とか4つ辻になる場所を出来るだけ避け遠回りして家まで帰りました。
つづく
怖い話投稿:ホラーテラー 鍵仁さん
作者怖話