いつぞや、女子高校生がネットで「死ね」と書かれたことを苦に自殺したというニュースがあった。
新しいニュースでもないが。
「死ね」といわれて、「じゃあそうします」と死ぬ者は普通はいない。
だからたいがいの場合、「死ね」という罵倒語は単なる罵倒であって、本当に相手の死を望んでいる(殺意がある)わけではない。それどころか、その言葉通りに死んでしまったとしても責任をとろうという覚悟なんかあるわけがない。
それほど「死ね」という言葉は重い言葉でありながら軽く使われている。
悪意のある者は自分の「死ね」という言葉の結果として相手が本当に死んだとき、それを自分の力の結果だと思う者もいるだろうという考えもある。「なにがオモロイの?」(相原コージ・著)というマンガに同じ趣旨のことが書かれていた。
そして、自分が相手を死に追いやった「力」を喜ぶが、死に追いやった「責任」を感じることはない。これで殺人罪が適用される可能性は極めて低いから。
法に触れないのであれば、処罰されないのならば、殺人しても平気な人間というのはたくさんいる。異常なんだがね。
そういうやつに言いたいね。「死ね」と。
それでそいつらが死んだら私がその責任を感じるかというか感じない。これもまた問題のような気もする……。つーか、そういうやつらに私がここで「死ね」と言って死ぬわけないし。
真顔で冗談でもなく面と向かって「死ね」と言われたことのある人はほとんどいないと思う。
……いや、案外、多いのか?
「死ね」より「殺す」のほうがまだいいなぁ。自分の手を汚す覚悟があって。殺されたくないけど。
「新機動戦記ガンダムW」の第一話のラスト。
主人公ヒイロ・ユイが、作戦行動を目撃したヒロイン(?)リリーナ・ドーリアンを殺すため、リリーナの学校に(細工して)編入する。
そして、リリーナとすれ違いざま、
「お前を殺す」
とつぶやく。(んで、次週へ続く)
この「お前を殺す」が、「死ね」だとニュアンスが違う。
「レインボーマン」の有名な敵組織「死ね死ね団」。彼らの場合は「殺す殺す団」ではやっぱり印象が違う。直接殺害するのではなく、ちょっとまわりくどく死に追いやるような、そんな組織だから。
まあ、「死ね」って言うやつは、まず、「殺す」って言葉に変える努力が進歩への第一歩かなぁ。いや、こんなこと言うて実行するやつおらんと思うけど……。
怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん
作者怖話