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中編3
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一寸の虫にも五分の魂。

私は某クラブで働いているホステス。

自分で言うのはおかしいけれど、

それなりの生活が出来ている。

とは言っても、東京生まれ東京育ち。

実家を離れる理由もないので未だ親と生活をしている。そして貯金を‥

そんな前置きはどうでもいいですね。

このお話は心霊とかではありません。

なので時間のある方だけ読んで頂けたらと思います。

私の働いているクラブにはママが飼っているわんこが番犬としている。

とは言っても小型犬の女の子。

少し疑問というか‥理解出来ないのは、

ママがどうしていつも連れてくるのかということ。動物が嫌いな人もいるのに‥

そんな事を昔から考えていたが、

口答えも出来ないような怖いママ。

わんこは私の飼っているわんこと同じ犬種で、私に懐いているし…まぁいっか。

だけど事件は起きたの。

そのお客はやってきた。

昔からの常連さんらしけど、私は初めて会う人だった。

入ってくるなり、犬を蹴飛ばし大きな声で「酒持って来い」と言い出す始末。

正直その時点で苛々マックス。

わんこの「きゅーん」

と言う声が耳から離れない。

「憎い…絶対つきたくない。指名するなよ糞野郎‥。」

本当に心の底から思った。

でも呆気ない。私の名前が呼ばれた。

「はぁーい。ご指名有難うございます。」仕事だから仕方ない。我慢我慢。

A「俺はさー君みたいな純粋な顔好きなんだよー」

「何が純粋な顔だよ!心はお前への苛々でいっぱいなんだよ。」

だけどお金の使い方は半端ない。

どうしてこんな品格の欠片もないような人を店に入れるのかがわかった。

そしてその男は連日私を指名してやってくるようになった。

そして私は連日母に愚痴をこぼした。

「お母さーん、今日もAがわんこに嫌がらせしたよ。もーいや。」

うちの母は決まってこういった。

「生き物の恨みは怖いのよ。」

私の気持ちとは裏腹にAは私に多額のお金を使ってくれた。

だから切るに切れないでいる私もいた。

Aはわんこ以外にも、私たちホステスが可愛がっている野良猫を蹴飛ばしたりしていたらしい。

他のホステスの子から聞いた話…

私は動物の映画やドキュメンタリー番組が大好きで…虐待する人は人として本当に許せないタイプ。

だからこそわんこを出来る限り守った。

おうちにお留守番させるようにママにも言ったが、ママの目に入る所では大きい事をしないため、聞いてもらえなかった。

きっとこの人は過去にもこういう事してるんだ。

「死んじゃえばいいのに。ごめんね。ごめんね。」わんこに毎日話かけた。

わんこは私の目をじっとみていた。心なしか笑いかけられた気がした。

そして先月事件は起きた。

店に来るなりママに言われた一言。

「Aさん死んじゃったよ」

言葉に困った。嘘…

本当に許せなかった。だけど本当に死んじゃうなんて…。悲しいと言うよりびっくり。後に出てくる色んなAの噂。借金が多額にあったとか…殺されたとか…自殺未遂しようとして本当に死んじゃったとか。

本当の事はわからない。

だけど野次馬が次から次へと店にやってくるようになった。人間って嫌だなぁ。

今月私は店をやめようと思う。

本当に色んな事を勉強させてもらった。

弱い者は守らなければ。

貯めたお金で動物保護の活動をしようと思う。

後日談ですが…わんこが私に笑いかけた気がした日、Aさんは亡くなったそうです。

怖い話投稿:ホラーテラー 椿さん

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