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長編9
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「☆僕の日記☆」

☆学校☆(金曜日 放課後)

先生「じゃあ、みんな帰り道に気をつけてね。あと、課題の日記を書いた人は見せに来てね。」

僕「はい先生!!今日の日記です。」

先生「は~い。へぇ~。今日は…通学中にお婆ちゃんの荷物を持ってあげたのね!!偉いわね~。」

僕「お婆ちゃんからお礼されて嬉しかったよ。」

先生「うんうん。…でも○○君はいい子ね。私のクラス全員に、毎日日記を書くように言っているのに…毎日ちゃんと日記を書いているのは、○○君しかいないのよ。」

僕「だって僕、毎日ちゃんと日記を書くって先生に約束したもん。」

先生「そうね。○○君は約束を守ってるのね。」

僕「うん。約束は絶対守るんだ。えへへ。」

先生「あら、○○君?なんかニヤニヤしているわね。」

僕「うん!!」

先生「何でニヤニヤしているの?」

僕「えへへ!!明日は土曜日でしょ?」

先生「そうよ。それがどうしたの?」

僕「昨日、ママとパパがね!!僕が毎日休まず学校に通っているから…そのご褒美をくれるって言ったんだ。明日ね!!」

先生「ご褒美?」

僕「うん。」

先生「ご褒美って何なの?○○君。」

僕「それはね…秘密なんだ。」

先生「え?どうして」

僕「パパとママに…誰にも言っちゃいけないって言われたんだ。」

先生「あら…そうなの…?」

僕「ゴメンね。先生。」

先生「ご両親に言われたのなら仕方ないわよ。誤る事なんて無いのよ。それより、小学2年生で秘密を守れるなんて偉いわね!!」

僕「えへへ。」

友達「おーい!!○○!!帰ろうぜ!!」

僕「うん!!それじゃ、先生!!さようなら!!」

先生「はーい。また来週ね。…あ、○○君!!」

僕「え?何?先生。」

先生「来週の月曜日、ご褒美が何だったか…それと、感想を教えてね!!月曜日になら、教えてくれてもいいでしょ?」

僕「う~ん…。わかった!!」

先生「うん。約束よ。あと…はい、日記を返しとくわね。」

僕「は~い!!それじゃあ、さようなら!!」

先生「ええ。またね。」

☆次の日☆(土曜日 朝)

ママ「○○~。朝よ~。」

僕「う…ん。眠い…。」

ママ「起きなさい。今日はキャンプに行くのよ。」

僕「あ…そうだった!!」

ママ「早く着替えてご飯を食べなさい。」

僕「うん!!初めてのキャンプ、楽しみ!!」

パパ「ははは!!そうかそうか!!お前がいい子だから、キャンプはそのご褒美だ!!」

ママ「もう…パパったら、はりきっちゃって。今日のために、すごいテントを買ったんだから。」

僕「うわぁ!!テント楽しみ!!」

ママ「そうね。」

パパ「よし!!荷物は全部車に積んだし…ママ!!○○!!車に乗れ~。」

ママ「はいはい。」

僕「うん!!」

パパ「よし!!それじゃあ出発!!」

☆車内☆(土曜日 昼)

パパ「いや~車の運転は楽しいな~。」

ママ「あなた!!真面目に運転してよ!!事故なんて起こしたら最悪よ!!」

パパ「はいはい…。…ん?○○…お前、それ何だ?」

僕「これはね…日記だよ。学校で先生に見せるんだ。」

パパ「そうか。」

僕「昨日はね、お婆ちゃんを助けたから、それを日記に書いたんだよ。」

ママ「まあ…偉いのね。」

僕「えへへ。」

パパ「…。」

☆キャンプ場☆(土曜日 夕方)

パパ「よし!!着いた!!」

ママ「遠かったわね。昼過ぎに家を出たのに、もう午後4時よ。」

パパ「お前は車で座ってただけだからいいだろ!!俺は運転しっぱなしで首が痛いよ…。」

ママ「はいはい。そうですか。」

僕「パパ!!ママ!!すごいね…見渡す限り木ばっかり!!大自然だよ。」

パパ「お!?気に入ったか?」

僕「うん!!」

パパ「それは良かった!!お前は今晩、ここで寝るんだぞぉ~。楽しみかぁ?」

僕「ワクワクするな~。あっ!!パパ、テントは!?」

パパ「おっと、そうだった!!車から出そうか!!」

僕「は~い!!」

パパ「よいしょ…どうだ○○!?大きいだろ!?」

僕「うん!!すごく…大きい!!」

パパ「このテント、大きいから組み立てが大変そうだな…。ところで、腹減ったな…。」

ママ「あら…そう言われればそうね。」

パパ「テントを組み立てるのは後にして、晩飯食うか!?ちょっと早いけど。」

ママ「そうね。そうしましょう!!」

僕「賛成~!!」

☆夕食☆(土曜日 夕方)

パパ「どうだ○○!!大自然の中で食う晩飯は!?」

僕「凄くおいしいよ!!このウインナーとか!!」

ママ「ウフフ。」

パパ「焼肉焼けたぞ!!」

僕「うん!!」

☆食後☆(土曜日 夜)

パパ「ふう…食った食った…。」

僕「もうお腹一杯だよ。」

ママ「ええ。」

パパ「ははは…。」

僕「今気付いたけど、だいぶ辺りが暗くなったね。」

パパ「そうだな。」

僕「そろそろテント作ろうよ!!」

パパ「おいママ…あれを。」

ママ「ええ…車から取って来るわ。」

僕「パパ?ママ?どうしたの?」

ママ「はい…あなた、これ。」

パパ「ああ。ありがとう。」

僕「それ、スコップ?パパもママも、そんな大きなスコップを持ってどうするの?」

パパ「なあ○○…。」

僕「何?パパ?」

パパ「パパとママは、ここで寝ないよ。」

僕「え?」

ママ「ここで寝るのは…お前一人なんだよ!!」

僕「う…ぁ…痛い…。どうして僕の頭を叩いたのママ?」

ママ「黙れ!!お前は…お前は…ここで寝るんだ!!永遠に!!」

僕「痛い!!」

パパ「このスコップで何するかって!?」

僕「痛い!!二人ともやめてよ!!」

パパ「このスコップでなぁ!!お前を殴って…埋めるんだよ!!」

僕「痛い!!痛い!!痛い!!」

ママ「自分達の生活で手一杯なのに、あんたまで養えないのよ!!」

僕「う…ぁ…う…。」

パパ「こうなる事は分かってた!!だから、お前が妊娠した時に、堕ろせっつったんだ!!」

ママ「いいじゃない…これで、解決なんだから。」

僕「い…た…い。」

ママ「はあはあ…。けっこう殴ったのに…まだ息があるのね!!」

パパ「ったく…しぶてえなぁ!!おらぁ!!」

僕「うぎっ…。……。」

パパ「…よぉし…。」

ママ「はあ…はあ…。後は…この餓鬼を埋めるだけね…。」

パパ「ああ。…くっくっく…しっかし、可笑しいよなあ…。」

ママ「何?」

パパ「この餓鬼、ただのブルーシートをテントだって信じたんだからよぉ。」

ママ「キャハハ…。でも、あながち嘘じゃないんじゃない?」

パパ「まあな。コイツは、このブルーシートに包まれて眠るんだからな。」

ママ「ええ。この餓鬼にとって、忘れられないキャンプになるでしょうね。」

パパ「ははは!!…おっと!!おい、コイツの手を見ろよ!!」

ママ「これって…日記帳?」

パパ「ああ。馬鹿だな…こんなもん大事に握り締めやがってよ。」

ママ「どうでもいいわ。早くシートに包んで埋めましょう。」

パパ「ああ。…埋めた後の手はずは覚えているな。」

ママ「ええ。子供をキャンプに連れて行った結果…行方不明になった…よね?」

パパ「そうだ。…事情聴取の時は涙を流せよ。いいな。」

ママ「ええ。任せて。」

☆次の日☆(日曜日 朝)

警察「…では、あなた達が目を離した隙に、少年は消えた…と?」

パパ「はい…。」

ママ「は…はい…。そうです…。」

警察「ふむ…。」

パパ「あ…あの!!」

警察「はい?」

パパ「妻は…昨日からずっと泣き通しで…少し休ませて頂けませんか?」

警察「ああ…心中お察しします。それでは、今日はもう帰りますから…また後日にでも…。」

パパ「お気遣いありがとうございます。」

警察「では…。」

パパ「お疲れ様です…。」

ママ「警察…帰った?」

パパ「ああ。しかし、お前の演技力には驚いたよ。」

ママ「ウフフ…。」

パパ「俺達は疑われるどころか、悲劇の2人になった訳だ。邪魔者が消えて同情もらって…いい事ずくめだな。ははははは!!!!」

ママ「完璧だったわね。」

パパ「ああ。」

パパ&ママ「あっはっはっはっは!!!!」

☆先生の自宅☆(日曜日 夜)

警察「あなたの生徒さん…残念ですね。」

先生「はい…でも、あの子…とってもいい子で…勝手にどこかに行くような子じゃ無いと思うんですが…。」

警察「うむ…。おっと、もうこんな時間か!!今日の聞き込みはこの位にしておきます。後日、また伺いますので。」

先生「あ…はい。」

警察「それでは…ん?」

先生「どうしました?」

警察「あ…いや。郵便受けに何か入ってますよ。それだけです。では…。」

先生「はい。お疲れ様です。…郵便受け…何だろう?朝見た時は何もなかったと思うけど…。」

先生「!!え?これって…○○君の日記じゃない!!」

先生「なぜここに?…それに…泥まみれ…。日記の中は…?」

「○月○日 金曜日 あさ」

きょう、がっこうにいくときにおばあちゃんがいました。

にもつがおもそうだったので、ぼくがもってあげました。おばあちゃんは、よろこんでくれました。

先生「これは…○○君が金曜日に見せてくれた文章だわ…。次のページは…?」

「○月○日 土曜日 ひる」

きょうは、パパとママとさんにんでキャンプにいきます。

おおきなテントをパパがかってくれたので、とってもたのしみです。

いま、くるまでキャンプじょうにむかっています。

パパ、ママ、だいすき。

先生「ご褒美って、キャンプに行く事だったのね。こんなに楽しみにしてたキャンプで行方不明になるなんて…月曜日に感想を聞く約束をしていたのにね…。次のページは…白紙…か。」

先生「取り合えず…○○君のご両親にこの事を伝えなきゃ。095-○○○-○○○○…と。」

ママ「はい…もしもし?どちら様?」

先生「あ。私○○君の担任です。」

ママ「…ああ…○○の…ご無沙汰してます。」

先生「本当に残念ですね…○○君…とてもいい子だったのに…。」

ママ「ええ…本当に…。…今忙しいので、他に何の用も無ければ切りますよ。」

先生「あ!!ちょっと待って下さい!!○○君の日記が私の…あ…切れちゃった…。」

先生「はあ…この日記…何で泥まみれなんだろう…。ん?あれ?土曜日の昼の次のページ…これ、2枚がくっついてる…?」

先生「やっぱり…2枚がくっついてたから、袋とじみたいになってたんだわ…。でもこの2ページ…赤い…まるで血みたいなシミがたくさん…これで2ページがくっついてたのね。」

「○月○日 土曜日 よる」

イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイテントはイヤダテントはイヤダテントはイヤダテントはイヤダテントはイヤダテントはイヤダテントはイヤダテントはイヤダテントはイヤダテントはイヤダテントはイヤダテントはイヤダ

先生「なに…これ…?次のページは…あ!!もう午後10時だわ!!明日は仕事だし…寝なくちゃ…。」

☆次の日☆(月曜日 朝)

先生「朝…か。今日は学校だから支度しなくちゃ。取り合えずテレビでも…ん?」

ニュース「行方不明となっていた○○君の両親が…今朝、自宅で死亡しているのを…近隣住民が発見しました。詳しい事はまだ何も…発見された状態は…とても惨い姿だったそうです…。」

先生「!!そんな!?何があったの?昨日の夜…この日記の件で電話した時はまだ生きてたのに!!あ…そう言えば、くっついてたページの2ページ目を見てなかったわ。」

「○月○日 日曜日 あさかひるかよる」

パパ…

パパはたよりになるから…

とってもすき

ママ…

ママはやさしいから…

…パパよりもすき

こんなこといったらパパおこるかなぁ

ろくねんせいになったら、パパとママにあまえれなくなるのかなぁ

すごくさびしいなぁ

…でも、それは4ねんごだから

ママにはいまのうちにあまえよう

っていうかんがえをパパにいったらなんていうかな

てをつないで…

てをつないで…

ねぇ…てをつないで…

先生「日曜日…?つまり、昨日この文章を書いたって事?それなら…この文章は行方不明中に書いたって事…?」

ピト…

先生「え?今…肩に何か…これは…手?後ろに何か…いる…?」

その手は赤黒く、冷たく、異臭を放っていた。その手は私の肩を思いっきり握り締めている。

ガシャガシャと何かが擦れる音が聞こえる…ブルーシートが擦れるような音…。

そして、後ろの“ソレ”はしゃがれた声でこう言った。

僕「せんせい…やくそくまもりにきたよ。“ごほうび”のかんそうきかせてあげる。」

おわり。

ほとんどの方が気付くだろうとは思いますが、一応…「○月○日 日曜日 あさかひるかよる」の文章は、それぞれの行の1文字目を縦読みです。古い手法ですいません。

怖い話投稿:ホラーテラー 最愛さん  

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