昔の不思議な体験の話です。
今は殆ど霊体験はありませんが、高校卒業までは頻繁に霊体験をしていました。
その中の一つのお話
冬休みのある夜、内容は忘れてしまったが、些細な事から弟と大ゲンカをした。
私は高校3年、弟は中学3年。
口喧嘩では姉と言う事もあり、私の圧勝。
いつもの様に弟は「ねーちゃんのバカぁー‼もう知らない‼」等と可愛い捨てゼリフを残し自室に篭ってしまった。
少し言いすぎたかなと思いながらも、明日になれば落ち着くだろうと自分に言い聞かせ、私も自室に戻り眠る事にした。
夜中に突然目が覚めた。
壁掛け時計を見ると、寝入ってから2〜3時間ほどたった頃の様だ。
変な時間に目が覚めたなぁ、と思いながら寝返りを打ち再度寝ようとした。
が、
動けない。
金縛りになっている様子。
今まで何度か霊体験はあったものの、金縛りは初体験だった。
まだ、携帯電話のwebやインターネットが一般的にまして一高校生になぞ普及していなかった頃の話。
オカルト好きではあったが、オカルト関係の情報も少なく、金縛りの解き方などわからなかったため、ただただ「うわっ!動けない‼おばけだ‼」と、声にならない声を上げていた。
(怖い‼早く寝なきゃ‼)
目をつぶろうにもつぶれない。
なぜか布団の足元側にある押入れの戸から目が離せない。
何とかしようともがいて居ると、押入れの白い戸の真ん中辺りから何か黒い丸がジワジワと滲み出てきた。
??なに??
黒い丸が広がるにつれて、嫌な事に気付いてしまった。
(うわぁ、人の頭だ。)
じわりじわりと押入れから見知らぬ女性が立体的に滲み出てきた。
明らかに怒った顔でこちらを睨んでいた。
もう腰まで出てきている。
服はベタな白い着物。
かと思いきや、下は赤っぽい袴。
巫女さんだ。
またまた、おかしな事に気付く。
体はどんどん近付いて来るが、腰から下が異様に長い。
長方形の部屋な為、布団の足元から押入れ迄は1mちょっとあるのに巫女さんの足が見えない。
そうこう考えている内に、もう巫女さんが目の前まで来ている。
髪がズルズルと顔にかかる。
近くで見ると中々の美人さんだがかなり怒った顔をしていた。
美人なだけにおっかない。
突然巫女さんは私の胸の真ん中辺りに腕を突き立てた。
(うぉっぐ⁈)
本当に驚くとキャーなんて悲鳴は出ない。
腕は体をすり抜ける様に刺さっている。
ド真ん中よりほんの少し左、心臓だと思う。
手は見えないが、どうやら巫女さんは私の心臓を掴んでいる様だ。
何が嬉しいのか怒った表情は消え、今度はニヤニヤしている。
(なんか心臓痛い…)
(死ぬかも)
動けず、声も出せずに痛みに耐えて5分程経った頃だろうか。
(なんか分かんないけどゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさい)
私は、遊園地で絶叫マシンに乗った時もそうだが、怖さが限界を超えると何故か謝り出す癖(?)がある。
この時、恐怖の限界を突破してしまった模様。
(ほんっとにゴメンなさい、うわぁ〜ゴメンなさいってば、もうしません(?)‼)
すると巫女さんが徐ろに腕を引き抜いた。
(?)
もう怒った顔もニヤニヤもしていない。
無表情で頷きながら押入れにシュルルッ!っと戻って行った。
その時は笑い事ではなかったが、掃除機のコンセントの巻き取りに似ていた。
今思い出すと、意外とシュールだ。
何が起きたかわからない。
よく分からないけど謝ったら帰って(?)行った。
相変わらず金縛りは続いているが急に強烈な眠気が襲って来た。
(なんだぁ〜?寝たら死ぬ!またおばけでてくる‼だめだ!)
怖い話投稿:ホラーテラー 姉さん
作者怖話