俺が幼い頃に住んでいた地域では言わゆる、『幽霊屋敷』があった。
その家は地元で《忌》の家と呼ばれていた。
閑静な住宅地にドンとした立派なお屋敷だ。
二階建で大きめの洋館。
俺が物心着いた頃には既に人は住んでいなかった…。
いや…、誰かが住んでいた時もあったが、直ぐに(売家)になってしまう。
元の家主は資産家だったらしい。戦後間もなくその場所に当時では珍しい洋館を建てた。
家族構成は主人・奥方・娘。その他使用人が5人。
最初の何年間は地区の会合やイベントにも顔を出していたらしいが、そのうちに家族の姿どころか、使用人の顔すら見なくなった。
ある事件がきっかけで坂を転げ落ちるようにその家は崩壊したそうだ。
最後は主人が奥方と娘を殺し、庭の池を潰してその場所に2人を埋めたそうだ。
それから、何周期かごとに人は住むのだが直ぐに空家になってしまう。
幽霊話が噂になるのもそう時間はかからなかった。
何故、《忌》の家と呼ばれているのかと言うと空家になれば普通は(売家)の看板に不動産屋の連絡先が記載されているもの…。
しかし、その家から人が住まなくなると(売家)の看板の他に、玄関口には人が亡くなった時に貼る、《忌》の貼紙が必ずあるらしい。
それも誰が貼るのか判らない。不動産屋も困っていたそうだ。
この話をするに充たっては皆様のご要望があれば、じっくり語らせて頂きます。
ご要望が無ければ、こういう家が今でも有ると言う事を頭の片隅にでも置いてくだされば幸いです。
それでは…またの機会があれば…お会いしましょう。
怖い話投稿:ホラーテラー 珠唸童子さん
作者怖話