中編3
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霊の好み

前に『封じられた力』という投稿をしたが、そこで書いたように 俺の弟はある時期までは霊感がめちゃくちゃ強かった。

今は全く感じる事さえないのだが、相変わらず霊は彼に寄ってくる。

何故こんなに、弟は霊に好かれるのか?

親は全然霊感なんてないし、親戚に坊さんがいるわけでもない。

なのに、俺と弟だけが 生れつき霊感が強かった。

しかも 霊感の種類?が、俺と弟では違うらしいのだ。

例えて言うと、饅頭とケーキが並んでいたら

『どっちも好きだけど……どっちかと言えばケーキが食べたいな』

といった感じか?

弟がケーキで、俺が饅頭である。

なかには『ケーキより饅頭が好き』という人もいる。

しかし手に取ってみたら

『あ……。こしあんなら好きだけど、つぶあんはちょっと……。』

みたいなね。

俺はつぶあんの饅頭である。

もちろんこれは、勝手に俺の好みで例えただけだから、つぶあん好きな方々 気を悪くしないで下さいね?

まぁとにかく、つぶあん大好き!というタイプの霊は俺に寄ってくるが、大多数の霊はまず弟へ寄っていくわけだ。

そして弟に寄る霊は、俺の事が嫌いな奴が多い。

俺が弟の肩に手を置いただけで、激しく睨んでくる奴もいた。

俺も負けずに 睨み返すけどね。

霊達は 弟に気づいて欲しくて、必死にアピールする。

目の前に立ちはだかり、顔を限界まで近づけてみたり、耳元で何か囁いてみたりする。

酷い奴になると、何をしても気づかない事に苛立つのか 家中の電化製品を壊していく霊もいた。

俺は実家を出ているが、たまに帰ると そこに住んでいる人間より霊の数の方が多かったりする。

最近思わず笑ってしまったのが、弟から見せられた社員旅行の写真だ。

「あんちゃん、ちょっとコレ見てよ。」

そう言われ、差し出された写真を見て吹き出してしまった。

楽しげに同僚と写真に写る弟。

その弟の右腕が……

長〜いんである。

明らかに不自然な腕の長さ。

「お前これさ〜。腕を下に降ろしたら、完全に地面に手ぇつくよね。」

「だよね。俺は宇宙人かっつの!

もう一枚もすごいよ?」

そう言いながら出して見せた写真を見て、俺は我慢できずに爆笑してしまった。

ピースしている弟の人差し指が、異常に長い。

さらに、人差し指の上に二本の小さな指が出ていて、ダブルピースみたいになっているのだ。

後ろは壁なので、当然誰かがいるわけもない。

これは霊障がどうたらって事ではなく、ただ単にいたずらされただけだ。

弟の後ろには、得意げな顔をした小学生くらいの男の子が見え隠れしている。

この子がやったんだな……と思いながら見ていたら、俺と目が合った事に驚いたのか、走って二階に逃げて行ってしまった。

こんな風に、弟が写っている写真は 八割が心霊写真になってしまう。

気づく事がなくても、向こうが勝手に近づいて来るからだ。

しかし、何も感じないと言うのは つくづく最強だと俺は思う。

女の霊がおぶさっていても体調を崩しもしないし、下半身がちぎれたオッサンが足首にしがみついていても、構わず歩いて行ってしまう。

そのうち いつの間にかに霊はいなくなっているのだ。

そんな弟が、俺は少し羨ましい。

いや、やっぱり羨ましくはないか。

写真は楽しい事だけを 写しておいて欲しいですもんね。

次の機会があったら、また違う話をここに投稿したいと思います。

怖い話投稿:ホラーテラー 雀さん  

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