高校の頃、学校からチャリで15分位のファミレスでバイトをしていた。
ファミレスの従業員は殆どが主婦や学生ばかりで、正社員は店長と副店長の2人だけだった。
今回はその副店長の話。
その方はYさんと言って、真顔で冗談を言うから本当か嘘か判断しづらく、ちょっと取っ付きにくいタイプだった。
そんなある日、バイトに行くと店長からYさんが退職したと聞かされた。
俺はそこまで仲良くなかったし、どちらかと言うと苦手だったので、正直辞めようが、辞めまいが関係なかった。
ただファミレスを退職した後、運送屋で働く事になったと、事情通の先輩Aさんに聞いた。
それから4年。
俺はバイト上がりから、そのまま正社員に登用してもらい就職した。
そして俺も役職が付き、副店長を任されるようになった。
ある日、事務仕事をしていると電話がなった。
電話の内容はバイト希望との事だった。
すぐに日程を調整し、翌日に面接をする事にした。
最後に名前を伺ったのだが、その方はYとなのった。
前述のYさんと同じ名字だったが、どこにでもいる名字なので全く気にしていなかった。
翌日•••
面接に来たのは、あのYさんだった。
俺はYさんが俺を覚えてないだろうと初対面を装うつもりだったが、Yさんは俺の事を覚えていた。
正直、面接はやりづらかった。
だって元上司だった人を今度は自分が雇う立場になるんだせ?
それにYさんは、やけに馴れ馴れしくしてきたし、あたかも採用決定みたいな態度だった。
数日時間をもらい、採用の場合のみ連絡を入れると伝えた。
数日後、俺はYさんに電話をすることはなかった。
ようするに不採用だ。
理由はシフトの時間帯が合わなかった事と、元社員なんてプライドもあるから遣いにくい。
それに後から来て、デカい態度を取られたら、他のアルバイトの方に悪いから。
話はこれで終わるはずだったが、後日嫌な話を聞いてしまった。
あのYさんが、近所の神社で首を吊ったとの事。
無職で奥さんと娘さんにも逃げられた。
遺書はなかったが、上着のポケットには、切り抜いた求人誌があり、俺の働いている店の掲載欄に赤マルが付けてあった。
Yさんからしたら、最後の望みの綱だったのかも•••。
怖い話投稿:ホラーテラー 関脇さん
作者怖話