まだ死んだらいけないんだ

短編2
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まだ死んだらいけないんだ

私が中学2年生の時、

父の身に起きた話です。

夜7時頃、父は仕事を終え、車を走らせていました。その日は大雨で、コンクリートに出来た轍に水が沢山溜まっていました。

緩やかな右カーブ…

対向車から来たトラックに、道路の轍に溜まった大量の雨水を勢い良くフロントガラスにかけられました。

視界が悪くなり慌ててしまい、ハンドル操作を誤り、轍に溜まった雨水のせいもあってスリップ。対向車側にツッ込んで行きました。

対向車側のガードレールに右前のタイヤがぶつかり、車軸が折れ、操作不能に。右前側のタイヤをぶつけてバウンドし、今度は左側へ勢い良くツッ込んで行きました。

今度は、自分が走っていた車道の左側の壁にぶつかろうとしています。ブレーキを踏みましたが、車軸が折れているせいか、全くブレーキがききません。

「こりゃ死んだな」

と、思ったらしいです。

(ぶつかる………!!!!)

(………???)

(…生きてる???)

かなりの勢いでコンクリートの壁にツッ込んでいったのに、ぶつかる僅か10センチ手間でピタッと止まりました。

夜11時半過ぎ。

雨に濡れてビショビショの父が帰って来ました。

私「おかえり。随分遅かったね~…かなり心配したよ」

父「いや~…参った。事故った。」

私「え」

私は弟と2人で、父の事故の経緯を聞きました。あまりにもアッサリと「事故った。」なんて言うから、大した事故じゃないと思っていたのですが、車はそのままレッカーされて結局お釈迦になるし、コンクリの壁にぶつかってたら多分死んでたくらいの猛スピードでツッ込んでいったらしいのとで、少しヒヤッとしました。

父はビショビショの服を脱ぎ、お風呂に入ろうとしました。

私は更にヒヤッとしました。

父の左右の肩と、脇腹あたりに、誰かの手の跡が計4つ、紫色に付いていました。脇腹の方は、後ろから抱きかかえられたようでした。

私「お お父さん…ソレ……」

父「ん?どうした??」

父「うわっ!!なんだコレ!?」

父も鏡の前でビックリしていました。

父曰く

「多分、お父さんの両親、お前達のおじいちゃんとおばあちゃんが、“まだ死ぬな”って助けてくれたんだな~」

祖父母のものかどうかは分かりませんが、紫色の手の跡は、3日くらいは消えませんでした。

私は心霊やらを信じていませんでしたが、この一件で信じるようになりました。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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