短編2
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焼身自殺

ある日の帰り道。時間は23時をまわった頃

車の中には運転するB、助手席の俺、後ろに座るAの三人がいた

他愛のない会話をしながら車を進める。しばらくしてBがあることを思い出した

B「そういやさぁ。もうちょい行ったら女が焼身自殺したとこ通るで」

その話は知っている。2週間ほど前の事だ。当然ニュースでもやっていた

俺「なんかガソリンかなんか被って火つけたんじゃろ?」

B「そうそう。最近のことだけに生々しいよな」

道の横には林が続いている。もう少し行けばこの林が拓ける所がある

そこで女は自分自身に火を放ったのだ

一体どんな心境だったのか?そんなことを考えていると、いよいよその場所が近づいてきた

B「もうちょっ…」

Bがそう言いかけた直後、明らかに車内の空気が変わった。なんと言うか、まとわりつくような、生温く息苦しい感じだ

A「さすがにわかっとると思うけど、止まるなよ」

後ろから聞こえたAの声に、Bは黙って首を縦にふる

俺の額からは汗が滑り落ちていた

やたら長く感じたが、空気が変わってからその場所を通りすぎるまでの時間は2分ほど

ようやく気持ち悪さから解放された俺達は安堵の溜め息をつく

B「なぁなぁA。実際どうじゃった?ヤバかった?」

俺も気になる所である

A「ん~ヤバくはなかったよ」

俺「えっそうなん?」

A「ただまぁ、まだ燃えとったよ」

俺「は?」

A「じゃけ女がまだ燃えとったんじゃって。身体中から炎が上がりょうる状態で地面をのたうちまわりょったわ」

B「それってさ……死んでからも苦しいん?」

A「苦しいじゃろうな。まぁそう簡単に楽になれんのんは、この世もあの世も一緒ってことよ。自殺せんのが一番じゃ」

Aの言葉を最後に、もうその事には触れずいつも通りのテンションで俺達は帰路についた

18禁自動販売機巡りだったのに……色々と考えさせられる夜になった

怖い話投稿:ホラーテラー Mさん  

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