中3の夏、部活の遠征でN県へ行った。
公式戦ではないが全国の強豪が集まり、ちょっとした祭り気分を呼び起こすいつもと違った雰囲気となった。
宿泊所は全ての学校を集客できる大型ホテル。
私は同学年のスタートメンバーと分かれた、大部屋へ。
40人弱が泊まる部屋。少しワクワク♪しながらドアを開けると、清潔だがなんとく殺風景の長細い部屋。
というか、これ全員入れるか??と、むしろ焦りつつ部屋に入ると、
その部屋には中学生ならばテンションの上がるロフトがついていた。
梯子を上ると同学年10人が余裕で眠れる広さ。
こちらは長細くなく、四角い
テンションが上がり走り回る。そこで後輩の冷たい視線に気づき我に返る
「あっ。クーラー寒かったら上がってきていいからね。。」とフォローを入れておく。
そして夜は更けて、就寝時間に
眠りについてからどれくらい経っただろうか
ふと、ある音が遠くから鳴っている気がする
ギシギシギシ・・
続く音から、近くの梯子の音だと気づき目を覚ます。
ギシギシギシ・・
ギシギシギシ・・
やはり鳴っている。
しかしこの梯子はクセがあり、上り下りの際、上から数えて2〜4段目のみ、音をたてることがわかっていた。
ということはその音を連続して鳴らすのはなかなか難しいし仮に後輩の誰かならば、もう上がりきっていいだろっとツッコミたくなる動きなのだ。
しかし、音は続く・・
辺りは寝静まっている。
お決まりのパターンで、皆は叩き起こしても術をかけられた様にきっと起きてくれないだろう
しかし
・・・。
ついに堪えられなくなった私は布団を跳ね退け、身を起こし「誰?!!」と大きな声で言った。
すると、周囲が布団から身を起こし、「やっぱりなんか聞こえるよね」と言い始めた。
この時、一人じゃなくて良かった!と心底思った。
皆で恐らくいるであろうものに視線を注ぐ。
暗闇の中、何かがいるのか、はたまた何かはこちらを見ているのか。
・・・
少しして誰かが。
「いいよ、寝よ寝よ!」
と言いだした。
こういったことを幾度となく経験した仲間たちは互いに理解し「そうだ、寝よう!」と言って横になった。
その後、またしばらくして、鍵の締めたはずのドアが何度も開いては閉まりを繰り返す音を聞いていたが眠りにつくことができ無事に朝を迎えることができた。
各々起床するなり開口一番、昨日のあれはなんだったの?聞こえたよね??
と、それらが、現実であったことを確かめ合い、盛り上がった。
ドアの音については半数ほどのみが聞いてたということで一部盛り上がった。
私は、これをスタートメンバーに伝えねば!と、伝導士さながら梯子を下りた。
今日も2〜4段が快調にギシギシギシと言っている。
梯子の下で寝ていた後輩に聞き込みを終える。
やはり誰も上がってない。しかし、音は鳴っていたと。。
ドアの鍵を開け、レッツゴーだ。
スタートメンバーの部屋へ行くと皆が固まって座っている。
「ねえ、昨日すごいことあったんだよ?!」と私。
あれ?一人輪の中で泣いている。
「もしかしてそっちも?!怖いことあったの?!!」と続く私。
すると、なんとその部屋では1名痴漢に遭遇していたと言う話。
私達の遭遇した出来事はあれよあれよと忘れられ(自分たちも)
夜中に布団内で痴漢にあった恐怖話で一同騒然となった。
ちなみに、翌日もその部屋へ1泊したのだが、疲れていて気づけなかったのか、
その日は鳴らなかったのか、
梯子の音を聞いたものは誰もいなかった。
怖い話投稿:ホラーテラー イヒモノさん
作者怖話