中編3
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一人旅

2年前に実際に体験した話です。

車の免許がやっと取れて念願の一人旅に出掛ける事にした。

あまり地方に行ったことの無い世間知らずな私。

インターネットで車でも簡単に行ける場所を探した。

1時間かけてようやく捜し出した場所は、地元から約2時間程で行ける小さな旅館だった。

値段も安いし、写真でみた限りは汚なくもなかった。

早速予約の電話を入れよう。

電話の相手は愛想の無い中年の女の人だった。

少しムカついたが、そんな事は関係無い、一人旅が出来るというだけで舞い上がっていた。

ついにその日が来た。

準備は万全。

出発だ。

車で走る事1時間、山道が前に出てきた。

山道というかあまり補正がされていない汚い道路だ。

本当に合っているのかと思ったが、ナビがその道を示しているのでまず間違いないだろう。

そのまま向かう事に。

山道の入り口に奇妙な看板が立っていた。

【敷き泣き峠×××】

多分【しきなきとうげ】だと思う。

後ろの罰印はよく分からなかった。

まぁそんな事は気にせず、先をどんどん進んだ。

山に入って30分、おかしな事に気付いた。

山に入ってから車と一台もすれ違っていないのだ。

さすがに怖くなってきたが、ここまで来て引き返す訳にはいかない、せっかく楽しみにしていたのと、プライドが許さなかった。

さらに進む事30分、山道の状況は先程より暗くなり霧がでてきた。

咄嗟に車のライトを付けた。

ぱっと霧の中に光が通る。

霧の中を5分程走った頃だろうか、前にトンネルが出てきた。

トンネルの入り口には先程見た【敷き泣き峠×××】という看板もあった。

トンネルの中は電気が無く、車のライトだけが道を照らしていた。

怖くてバックミラーは見れない、両手でハンドルをぎゅっと強く握って前だけを向いていた。

すると出口の方から車が来た。

私はようやく他の車を見ることができた事に安堵感を抱いた。

すれ違いざまに私の車のライトが相手の運転席を照らした。

中年の女性が凄い笑顔で私を見ていた。

歯茎が剥き出しになるくらい満面の笑みで。

私は一瞬ゾッとしたが、軽く会釈だけして通り過ぎた。

トンネルを抜けると、先程とは違い綺麗に舗装された道路が出てきた。

その道をさらに進むとお目当ての旅館が出てきた。

見るからに古く、本当に営業しているのかというくらい寂れていた。

私の車しか停まっていない駐車場を後にして、旅館に入った。

すいません。

返事がない。

誰もいないのか。

すると奥の方から何やら音がする。

ドン… ドン…

人がいると思い、私は中へ入っていった。

音のするほうへと向かって行く。

暗い廊下をヒタヒタと歩いていく。

隙間風の音がより恐怖心を煽る。

ゥゥゥオオオオォォォ

とうとうその前の部屋まで来た。

相変わらず中からは音が聞こえる。

部屋の扉を恐る恐る開けてみた。

ぅわぁぁぁぁー

私は腰を抜かしてへたりこんでしまった。

天井から紐で足を結び、頭を壁にぶつけている音だった。

恐怖のあまり足が思うように動かない。

足に鞭を入れて私は逃げた。

暗い廊下を走っていると、後ろから走ってくる音が聞こえる。

捕まったら最後だ。

私は必死に走った。

出口が見えてきた。

ばっ!と出口を出た瞬間から何故か記憶がない。

気が付いたら、行きしに通ったトンネルの手前にいた。

私はすぐに帰る事にした。

何故記憶がないのか、必死に考えたが分からなかった。

運転中なにげにポケットに手をいれてみたら、何やらじゃらじゃらしたものが入っていた。

手に出してみると、全部爪だった。

私はビックリした余りアクセルを強く踏んでしまい、ガードレールに突っ込んでしまった。

それからまた記憶が無くなり、起きたら家にいた。

夢かと思い外に出ると、車が無い。

ポケットに手を入れてみた。

爪が入っていた。

私はいったいどうやって帰ってきたのか。

何かされたのか。

未だに何もわからない。

ただ一人旅は二度としない。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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