短編2
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ドライヤー

いつもと変わらない日だった。

学校が終わり、

独り暮らしの寂しい部屋に帰宅する。

買ってきたコンビニ弁当を

レンジで暖め、テレビをつけた。

別によく見るわけでもないのに

テレビをつけるクセがついている。

独り暮らしの部屋は静かで、

テレビのバラエティー番組の声は

寂しさを少し紛らわしてくれた。

弁当を食い終わり、風呂に入る。

その日は疲れていたので、

長めに湯船に浸かった。

風呂から上がると、

テレビを消した。

テレビの音が消え、

部屋は静かになった。

濡れた頭をタオルで乾かしながら、

部屋の電気を消しベッドに入る。

ベッドに入ってから、

なぜだかドライヤーがしたくなった。

いつもはタオルで乾かして終わりだ。

髪の毛も短いし、それで良かった。

ただなんとなくドライヤーがしたくなったので、

ベッドから起き上がり、

暗い部屋を手探りで探すと、

すぐにドライヤーが見つかった。

線はコンセントに挿しっぱなので、

スイッチを入れた。

電気も消え、暗く静かな部屋に

ドライヤーのドデカい音が響く。

最近髪の毛伸びてきたな。

切りにいこう。

髪の毛をとかしながら熱風を当てた。

その瞬間

体が硬直した。

え?起きてるのに金縛り?

ドライヤーをあてたまま体が動かなくなる。

熱い!

もしかしてこのまま

頭焼けて死ぬのか俺?

こういう場合、

死因はどうなるんだろう。

なんて縁起でもないことを考えた時、

急に体が動いた。

自分の意志じゃない。

勝手に体が髪を乾かしている。

俺はこの、体が自分の意志とは関係なく動くことよりも

気になることがあった。

髪の毛が伸びている。

それも、ヘソ近くまである。

うわぁ、気持ちわるい。

当事者は自分なのに、

どこか他人事のように考えてしまう。

暗い部屋の中、

体が勝手に髪の毛を乾かす奇妙な体験。

ふと、気づいた。

この長い髪の毛は

俺の頭から生えているわけじゃない。

急に髪の毛が伸びたわけでもなさそうだ。

じゃあこの髪の毛は?

ああ、そうか。

俺の頭の上に、

女の頭が乗っているんだ。

暗い部屋の中、その様子を想像して、

遅れてきた恐怖心が一気に沸いてきた。

全身に鳥肌が立つ。

この女が髪を乾かし終えたら

俺はどうなる?

そこまでは覚えていた。

気がつくと朝だった。

俺はベッドに横になり、

ご丁寧に体には毛布がかけられていた。

急いで目覚ましを見る。

学校には、間に合いそうになかった。

実話だからオチも弱い。

けど俺からしたら怖かったんです。

あれから、毎日電気をつけてドライヤーをするいい習慣ができました(笑)

怖い話投稿:ホラーテラー ホラテラマンさん  

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