これは私の姉の話です。
姉は当時、専門学校に通っていて、学校の近くのアパートで一人暮らしをしていました。
姉は、大学卒業後に両親を無理矢理に説得して専門学校に入ったので、仕送りも無く、なかなかの貧乏生活をしていました。
当然、服にもお金をかけれない姉は、古着屋をよく利用していたらしいのですが、そんなある日、掘り出し物を見つけたそうです。
それは、赤いダッフルコート。
そのコートは、サイズもちょうどいい、汚れやキズもない、値段も安いと、文句なしのモノで、すぐに買って帰ったそうです。
後日、姉は気に入ったそのコートでバイトに出かけたのですが、その日は大変寒く、風も強い日だったので、姉はポケットに手をつっこんで歩いてたそうです。
そうやって歩いていると、指先に何やら硬いモノが当たるんだそうです。
「あれ?何だろう?」
そう思って、指先に当たるそれを取り出してみたら、その、取り出したそれ、人の爪だったそうなんです。
しかも、爪切りで切ったようなのでは無く、割れた様なガタガタの爪。
で、それを見た姉は気持ち悪いから、爪をすぐに捨てたそうです。
バイトが終わり、姉はそんな事があった事も忘れていたので、帰宅するとすぐに眠ってしまったそうです。
しかし、夜中、姉は変な声で目を覚ましたそうです。
「ゔぅ…ゔぅ…」
女の泣き声です。
「何…?この声…?」
うっすらと目を開けると、姉の視界は赤一色だったそうです。
「あのコートだ…!」
姉はすぐにそれがコートだとわかりましたが、そこにコートがあるはずがありません。確実にコートを着た誰かがベットの隣に立っている。
「ゔぅ…ゔぅ…」
ずっと女は泣いてる。
「怖い。…でも、一体誰がいるの?何の為に…?」
姉は、怖かったらしいのですが、勇気を出して、顔を確認しようと決心したんだそうです。
そうして、少し視界を上に向けたその時、
姉の視界に女の手が入ったそうです。
その手は赤紫色をしていて、爪はがバキバキに割れて、そこから血がポタポタと流れていたそうです。
それを見たのを最後に、姉が気づくと、いつも通り朝になっていて、コートも壁に掛かっていたそうです。
ちなみに、そのコート、姉は買った古着屋
に売りに行ったと言っていました。
その女、今もコートの持主のところへ現れているんでしょうか…
怖い話投稿:ホラーテラー シンバさん
作者怖話