僕は駅前で「殴られ屋」をやっている。
21時頃から終電まで、そこにいると、様々な人間が立ち寄っていく。
ほとんどが冷やかしだけど、
1発500円で、鬱憤を晴らす奴も少なからずいる。
上司のセクハラやパワハラ、
恋人、家族への不満、
世の中への不満、
理由は様々だけど、誰もが1発殴るとスッキリした顔で帰って行く。
もう、2週間、毎日ここに来ている。
昨日の収穫は、3千円だった。
まだだ…
もう少し…
もう少し溜まれば…
時間がない。
早くしなければ…
早く溜めなければ間に合わない…
僕は、焦っている。
今日は、少し早く家を出ようか。
夕方なら、若者も多いだろう…
あと少しだ…
時間がない…
急がなければ…
怖い話投稿:ホラーテラー 熊田さん
作者怖話