短編1
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夜走る

夜の駅で電車を待っていた。

この辺りは昔は栄えていたが、

今はとうに寂れ、

見た目ばかり立派な線路を通る電車は、

せいぜい一時間に一本程度だ。

定時をとうに周り、

自分の他には駅員さえもいないホームは、

切れかけた電灯の瞬きさえも聞こえるほど静かだった。

と、突然、

プァーーーン

という警笛が、静寂を破った。

やれ来たかとベンチから立ち上がり、

切符をポケットから出しつつ、

腕時計を見た。

しかしまだ、

電車は到達するべき時間ではなかった。

はてと中腰のまま、

線路を見ていると、

ガタゴト、ガタゴト、ゴゴオーッと、

線路を走る音が近づいてくる。

しかし線路を照らす明かりは一向に見えない。

呆気に取られていると、

音だけがグングンと近づていきて、

目の前に迫り、

はたと止んだ。

沈黙の時が数秒、

流れた。

と、突然

ピィィィーーーッ!

と警笛音が響き、

再び「走る音だけ」が、

目の前を通過し、

駅を通過し、

先にある暗いトンネルに消えていった。

辺りには摩擦による、

独特の焦げ臭い匂いだけが漂っていた。

怖い話投稿:ホラーテラー 匿名さん  

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