中編4
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トンネル

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あれは確か9月下旬のことだった。

地元で有名な心霊スポットに行くことになった時のこと。

私は16歳で原付の免許を取ったが、すぐに乗らなくなった。

心霊スポットに行くことになった時、周りに車を持ってる人がいなかった。

が、歩いて行ける距離ではない。

そこで諦めればよかったが、バイクで行くことになった。

5人全員バイク。

その心霊スポットはトンネル。

人が見える…や、声が聞こえると噂されている。

トンネルに着き、リーダー的存在の一人が

『一人ずつ行こうよ!出口出たら待ってて』

と言い出した。

ジャンケンで行く順を決め、私は負けた。

行く順は、私→A→B→C→Dとしよう。

私は一番に行くことになり、正直怖かった。

暗いトンネルというだけで怖い。

トンネルを入る時にエンジンをかけ、出口を出たらエンジンを切る。

エンジン音が聞こえなくなったら次の人が来る。

こうしたルールを決め、私から出発した。

トンネルの中は暗闇。

通常あるであろう電灯もなく、真っ暗で先が見えない。

私は意を決してエンジンをかける。

まだ乗り慣れないバイクにまたがり、トンネルの中へ...

さっきの静けさとは一転し、自分のバイクのエンジン音がトンネルの中で反響しひどくうるさい。

中は車1台が通れる幅。

緩く左にカーブしていた。

長さはたぶん150m程。

不安と緊張から慎重にバイクを走らせる。

………何事もなく終わった。

エンジンを切り、次が来るのを待つ。

トンネルの向こうでエンジン音が聞こえる。

Aがくる。

一人でいる不安と恐怖から時間が経つのが遅く感じる。

早く…早く…早くきて…!!!!!!

・・・ん?

こない?

暗闇の中で待つのはひどく怖い。

感覚的にはもう5分以上経っている気がした。

ようやく光がみえ、Aがきた。

『遅かったよー!怖かったんだよ!』

と私が言うと

Aは『え?トンネル長くね?予想外w』

『うそー!?150mくらいだったよ?』

『絶対もっとあるって!結構走ったぞ?』

Aは笑いながらそう言った。

恐怖のあまり私が勘違いしてるのか…?

私は困惑しながらも、3番手のBが来るのを待つ。

BはAと比べ、早く着いた。

『何も起きないねー!』

なんて笑いながら来た。

私が

『長さどれくらいだった?』

と聞くと

Bは『え?うーん150mくらいじゃない?案外平気なもんだな!』

と答えた。

やはりAだけ長く感じていたのだ。

Aは不思議そうに首をかしげていた。

4番手のCのバイクのエンジン音が聞こえた。

近づいてくる。

・・・あれ?

また?

なかなかCがこない。

でも音は聞こえる。

中で停まって何かしてるのか?

私は暗闇に目を凝らし、Cを待った。

こない。

音は聞こえるのにCはこない。

ヘッドライトの明かりも見えない。

AもBも不安になり、私達はバイクを置いて走って中に入って行った。

あれ?入り口に戻った?

Cは!?すれ違った!?

いや、あの広さで見逃すわけがない。

最後にくるはずのDが、不思議そうに私達を見ていた。

『なんで戻ってきたの?あれ?Cは?エンジン音聞こえないじゃん。合流してないの?』

ふとトンネルの方を向き直す。

聞こえていたはずのエンジン音が聞こえない。

今度は全員でトンネルに入る。

Dのバイクのヘッドライトで照らしながら歩いていく。

何もない。

誰もいない。

やはりトンネルは150m程だった。

出口が見えた。

私、A、Bのバイクがある。

何か・・・いる?

並んだバイクの向こうにCがいた。

『Cー!どこ行ってたんだよ!?』

『・・・』

Cは答えない。下を向き震えている。

そして急にこちらを向き、私に飛び付いてきた。

『なんで!なんで、ここにいなかったの!?』

Cが叫んだ。

なかなか来ないCを探しに行った事を伝えると、Cは下を向いたまま何かを考えていたようだった。

そして『行こう、とりあえず行こう』とだけ言いバイクに乗った。

私達はCに続きバイクに乗り走った。

しばらく行ったところにコンビニがあり、そこで止まった。

中に入り温かい飲み物を飲みながら、Cが話し出した。

Cはトンネルに入り、出口へ向かって走り出したそうだ。

しかし走っても走っても出口がない。

私やAやBが行ったのを見ていたので、トンネルはそんなに長くないと思っていた。

妙な不安に襲われていると、後方から何かがくるのに気づいた。

車だ。

このトンネルの中では車はバイクを追い越せない。

狭すぎるのだ。

邪魔になってはいけないとスピードをあげた。

が、車はどんどん近づいてくる。

ぶつかる!?

そう思いミラーで車を見た。

すると・・・・・

車はスピードをあげ接近してきた

怖くなりさらにスピードをあげる。

しかし逃げられない。

もうダメだ!ぶつかる!!!!!!

そう思った時、ようやく出口が見えた。

トンネルを抜け、すぐ道の端にバイクを寄せ車をかわした。

が、車は急停車し中から

『私が見える?』

女の人の声だ。

Cは声は聞こえても、女の人は見えなかったらしい。

恐怖で声も出ない。

すると

『お前も見えないのか!!』

急に図太い男の声になった。

『まだ変われないじゃないか!!』

見えない"何か"は怒鳴り暗闇に消えていった…

Cはそのままうずくまり震えていたそうだ。

そしてトンネルの長さはとても長く、到底150mなはずがないと言っていた。

私達は車など見ていない。

音も聞いていない。

それより私達はトンネルの中でCとすれ違っていないのだ。

Cは一体どこへ行っていたのだろうか…

もし車の中の"何か"が見えていたら、どうなっていたのだろう。

考えるのをやめ、私達はコンビニで夜が明けるまで過ごし、帰りは違う道で帰った。

それ以来あそこには行っていない。

Concrete
コメント怖い
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こういうシンプルさが余計に怖い。

返信

ありそうな話だけど怖かった。霊は何に変わりたかったのか…

返信

東北です。こちらも心霊スポットといわれている○○城跡に続く道の途中にあります。
詳しくは伏せさせていただきたいです。
申し訳ありません。

返信

皆様、コメントありがとうございます。
まだうまく文章を書くことができませんが、皆様のコメント等励みになります。
もっと読みやすく書けるよう勉強して、また投稿したいとおもいます。

返信

読みやすく面白かったです。

返信

文章上手くて読みやすかったです。
それにしても怖い話ですね。

返信

かなり怖いです。

返信