短編2
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車でドライブ

数年前の夏、僕は彼女と車でドライブをしていた。

時刻はだいたい夜の9時くらいだったと思う。帰るにはまだちょっと早いね、

という話をしているとちょうどそこに山の上のほうに向かう道を見つけた。

せっかくだしこの道を通って山を登ってみようか。頂上までいけば夜景なんかも

見えるかもしれない。そう思って、彼女と意気揚々と山道を登っていった。

入り口の近くには大きな貯水池?みたいなものがあって、それを横目に見ながら

その道を上がっていく。道路は2車線になっていて、ちょくちょく対向車と

すれ違ったりしていたので怖い雰囲気はなかった。

それに分かれ道のない1本道だったので、迷ってしまうこともなさそうだ、

というのも不安にならない要因の1つだった。

そうこうしているうちに、山の中にある町にさしかかった。

もうほとんどの家の電気が消えていて、こういう田舎の町って夜が早い

んだなあ、なんてことを話しながら道なりにまっすぐ進んでいった。

町を抜けると、相変わらず対向車はぽつぽつとやってくるんだが、

ちょっとずつ道が狭くなっていくんだ。道自体もあまり整備がなされていない

ような様子に変わっていき、僕はちょっと不気味だな…なんてことを彼女と

話していた。そしてとうとう行き止まりまでやってきてしまった。

こりゃ残念だけど引き返さないといけないな…と思いながら

僕は時計を見ると、もう10時。

で、もと来た道を戻り始めてふと気づいたんだ。

さっき見かけた対向車はどこから来たんだ??

道を引き返しながら確認してみても、ほかに分かれ道はない。

僕は怖くなり一刻も早くこの場を離れたい!と思うけど、カーブが多くて

スピードを出すわけにもいかない。

彼女はそのことに気づいてないらしく、夜景見たかったなあとか呑気なことを

言っていた。僕は余計な心配をかけまいと、でも内心ビビっていた。

そして、入り口で見かけた貯水池が見えてきてホッとした。

よかった、無事戻ってこれた。安心して時計を見ると、10時20分。

10時20分?!行きは1時間もかかったのに、帰りは20分しかたっていない。

行きも帰りも分かれ道の別ルートもなかった。無意識にスピードを上げていたのか…

いや、それにしては早すぎる…そんなことを考えていると、横にいた彼女が

あっという声を出したんだ。

「帰り道、あの町なかったね。」

Concrete
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呑気な連れがそんな事言ったら本当って事だよね。やばい…

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