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短編2
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知人が体験した話です。

彼は杉並区にある築3~40年は経とうかという古い木造アパートに一人暮らししていました。

最近ではどこもそうでしょうが、

隣人とも会話は無くすれ違い様に会釈する程度の付き合い。という人も多いのではないでしょうか。

彼も越してきて半年にもなりますが、隣に住む人の顔も知らなかったそうです。

そんなある日、隣人とたまたますれ違った時

「あんたさぁ、夜中に壁を引っかくの止めてくれない?ウルサくて眠れないんだけど。」

と。

彼はサッパリ意味が分からず、「そんなことしませんよ?てか夜中は寝てますし。」

しかし隣人は

「次にやったら大家に言うからね。」

と吐き捨てて部屋に戻っていきました。

もちろん彼は身に覚えはありません。

近所付き合いなんて面倒だな。程度にしか捉えませんでした。

その翌日の夜、仕事から帰宅して疲れきっていた彼はすぐに布団に横になって眠りにつきました。

深い眠りについていた時、突然壁をドン!!!!と叩く音が。

彼はその音で驚き目を覚ましました。

眠気まなこで彼は「隣の奴だな......なんだってんだよこんな夜中に.......」

と急に起こされた為イラつきましたが、疲れていたので再び眠りにつこうとした時

カリカリ........

カリカリ........

なにかを引っかくような音が聞こえるのです。

(ネズミかな......?)と月明かりしか差さない薄暗い部屋を見渡すと、

隣人に叩かれた壁側に5歳くらいの小さな男の子が壁側に向いて座っていたのです。

そして男の子は爪で土塗りの壁をカリカリ.......カリカリ.........と。

彼は凍りつきました。

隣人の言っていたことは本当だったんだ!!

5~10分位でしょうか。

彼はしばらく布団の中からその男の子の様子を見ていましたが、意を決して男の子に

「...........ぼく、なにやってるの?」

すると男の子はこちらを振り返り

「この中にお母さんがいるの」

Concrete
コメント怖い
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【山口敏太郎2013年8月怖話アワード動画書評より】

これ僕シンプルなんですがすごい好きです。怪談の王道の手法をとってまして、何か日常生活に怪しい物が迫ってくる。そして、それを本人ではなくて最初、隣人とか周りの人から指摘されるというくだりは最高です。
壁に焦点を当てたのは非常にベターはベターなんですけども、壁というのは民俗学における境界ということで、あの世とこの世の境目ということなので、いい部分に焦点をあてたかなと。
この「壁」という作品は、僕は直球で面白かったなという印象を受けますね。

他の作品の書評はこちら 
http://blog.kowabana.jp/124

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なぜ話しかけたの?

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うーん、子供の幽霊は無邪気とのギャップがあるから怖いね。

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