短編2
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僕はとある市立中学校に通うどちらかというと真面目な方の生徒だ

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ある日の数学の授業の終わり頃、先生が黒板に書くことをノートにまとめていると教室の後ろの方が騒がしくなった

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何かと思って振り向くと雀が教室に入り込んでいた

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生徒はともかく先生までもが「迷子かな〜?お家に返してあげないと」などとはしゃいでいる

僕はそんなこと気にもせずにノートをまとめ続ける

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そして先生が雀を逃がして騒ぎも落ち着いた頃、教室の扉が勢いよく開き隣のクラスの安井先生が青ざめた顔で入ってきて僕に向かって言った

「松田(僕の名前)お母さんが事故で…」

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詳しい話は病院に向かう安井先生の車の中で聞いた

母はひき逃げにあって死んだそうだ

それなのに涙の一つも出ない

実感がないからだ

家に帰ると母がいつものように「おかえり」と迎えてくれるような気がするからだ

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病院に着くと暗い部屋に案内された

その真ん中に母が”あった”

魂が抜けて冷たくなった手を触って初めて母がここにはいないということを知った

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早くに夫を亡くし、母は女手一つで僕を育ててくれた

我が家は裕福な方ではなかったけど何かいいことがあったりすると母は美味しいものを食べさせてくれた

そんな優しかった母はもうこの世にはいないとわかると急に涙が溢れた

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「母さんがいなくなったら僕は一人になるじゃないか!!…僕はこれからどうやって生きて行けばいいの!?…」

不本意にこの世を去った母に言っても仕方がなかったがそれでも言葉が溢れ出した

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悲しみに押しつぶされて目の前が真っ暗になった

いや、明るくなった

顔を上げるといつもの授業風景だった

僕は珍しく居眠りをしていたようだ

良かった、夢だったのか…

と安心したのもつかの間、授業が終わりかけていることに気付いて急いで黒板の数式を書き写す

そして何の気なしに一つだけ空いている窓の外を見てみると

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こちらに向かって雀が飛んできていた…

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これは、本人にはある意味物凄く怖い瞬間でしょうね・・・