長編8
  • 表示切替
  • 使い方

赤い村-捜索-(12)

wallpaper:131

music:4

周りを覆う不気味な木々に囲まれ、「赤忌村」は姿を現した。

shake

(.......っっ....!!)

nextpage

........肌で感じる異様なまでの違和感。

丸山が今まで感じたことのない感覚だった。

生い茂る森を抜け、村に入った瞬間からだ。

空気も、匂いも、湿度も、風も。

それら全てから本能で読み取れる程の凶悪な「霊気」。

nextpage

ここに入って無事でいるはずが無い。

そう思わせるには充分な程に、生きているという感覚が奪われていく。

.....まさに、そこは「あの世」のようだった。

nextpage

「......ちっ。

なんて威圧感だよ、こうまで露骨じゃ霊感もクソもねぇな。

馬鹿でも分かるぜ、「いる」ってよ。」

nextpage

流石の前田も、少し戸惑うようにしてそう言った。

神山は、すでに震えていて声も出せないようだ。

nextpage

それでも、唯一救いなのは丸山がこの場所を「夢」で知っていることだ。

夢の中の村とは、さびれ方も雰囲気も違うものの、どうやら建物の配置などは同じままのようだ。

それは、実際かなり時間の短縮に繋がる。

nextpage

「......祠はこっちだと思う。

......行こう。」

丸山は、まず一番最初に見た森の中にある大きな祠へ向かった。

夢を鮮明に覚えていたおかげで、それはすぐに見つかった。

......が。

nextpage

shake

sound:18

「!!!!!!?」

(そ、そんな......!?)

nextpage

そこには、年月の劣化によって崩れ去った祠があったのだ。

いや、正しくは残骸といったところか。

夢の中でこの祠の扉が開いた理由は、これを意味していたのだ。

nextpage

「へっ、なるほどな.....。

こいつが封印の力を失ったおかげで、俺らがこんな目にあってるって訳か。」

前田は、ドカッと祠の残骸を蹴り飛ばした。

nextpage

「恐らく、この残骸の何処かに「少女の一部」があるはずだ。

.......探そう。」

懐中電灯で照らしながら、慎重に残骸をどかしながら捜索した。

そして、「ソレ」は案外すぐに見つかった。

汚く変色してしまった木箱。

剥がれ落ちた跡が残っているが、この箱にもお札が貼ってあったようだ。

丸山は、恐る恐る木箱を開いたのだったーー。

*************

nextpage

wallpaper:226

music:2

shake

「........うっ....!?」

中には、無数の白いウジがワサワサと湧いていた。

何故か成虫になる訳でも無く、少女の無惨な左手首を蝕んでいる。

そして20年もの歳月が経っている筈なのに、「手首」は生々しく湿っぽさと原形を保っている。

酷い腐臭がするものの、腐敗が進んでいないようだった。

nextpage

「.....な、何だよ....これ....。」

こびり付いた肉片がぐちゃぐちゃになり、虫に蝕まれ穴だらけとなった手首。

丸山は見るに堪えられなくなり、すぐに木箱の蓋を閉めた。

nextpage

「......次、行こう。」

丸山はフラつく頭を少し手で支えながら、「崩れた祠」を後にした。

終始、神山は目を瞑り、「手首」に手を合わせブツブツと何かを言っていたのだったーー。

*************

nextpage

wallpaper:224

(俺の記憶ではもう一つ、あの屋敷の裏に祠があったはずだ。)

nextpage

崩れた祠から、約300m程の距離にある大きめな屋敷。

確か、夢で少女が「人肉の食事」を摂っていたあの屋敷だ。

屋敷はあちこちの窓が割れ、シロアリによってスカスカになった壁の穴からは、気色の悪いヤスデが行き来している。

nextpage

正面の扉の下に、四角い板切れが落ちていた。

丸山がそれを拾ってみると、それには「宮坂」と書いてあった。

.....どうやら、ここは「宮坂家」の住居だった屋敷のようだ。

nextpage

「.....ここが....。

あの子の家だったんですね....!」

神山は、すでに恐怖でまともに立っていられず、前田の腕にしがみついて立っていた。

60歳のオッサンに引っ付かれ、複雑な表情を見せていた前田だったが、流石に空気を読んで見逃しているようだ。

nextpage

「.....裏に、祠が一つあったはずだ。」

丸山が二人にそう言い、裏へ回ろうと歩き出した瞬間だった。

sound:18

タッタッタッタッ.....

nextpage

shake

「!!!!!?」

(.....足音?

屋敷の中から....?)

nextpage

三人は目を見合わせた。

どうやら全員が聞こえたようだ。

丸山は、穴の空いた窓ガラスから中の様子を確認した。

nextpage

....誰もいない。

だが、足音は確かにこの屋敷の中から聞こえた。

......あの「少女」だろうか?

いや、それにしては何の気配も感じられなかった。

中は砂の混じった灰色の埃が溜まり、湿気を含んだ家具には所々にカビのようなシミが見える。

nextpage

(変わった様子は見られないが.....。)

......ここはリビングだろうか。

8畳程の大きめな部屋から繋がって、奥にはあの少女が「人肉を調理」していたキッチンが見える。

そして、リビングにはその「料理」を食していた小さなテーブルが置かれていた。

nextpage

.....思い出したくもない光景だ。

それでも、この空間を見れば鮮明に思い出してしまう。

小さなあのテーブルで、少女が美味しそうに炒めた「子供」を食している、あの光景が......。

nextpage

「.....ぅぉえ。」

丸山にまた吐き気が襲った。

その時、ふとリビングの横にある襖が少し開いていることに気づいた。

丸山はそこへ懐中電灯を当てた、その時......

nextpage

shake

「.....ひっ!!!?」

......顔だ。

身体は闇に隠れていて見えない。

顔だけがその約10cm程の隙間から覗いているのだ。

まるで、襖に隠れて此方を確認しているようにも見える。

そして、「ソレ」はスッ....と奥へ消えていった。

nextpage

「.......少女じゃない.....!?」

勿論、鮮明に見えたわけじゃない。

ましてや顔だけしか確認出来なかったが、あれは少女とは違うように感じる。

もっと、悪意のない綺麗な目をしているような.....。

nextpage

(.....子供....?)

丸山の中で感じた印象は、それだった。

そして、何故だかそれは此方へ誘っているようにも見えたのだ。

タッタッタッタッ.....

nextpage

shake

(...っ..!!

.....まただっ....!!)

再度聞こえる足音。

あの「顔」の足音で間違いない。

丸山は、どうしてもその足音を無視することが出来なくなっていたのだったーー。

*************

nextpage

wallpaper:178

music:5

「ちょっと.....行ってみよう。」

丸山は二人へ提案した。

その言葉に身体をビクつかせた神山が、震えながら答えた。

nextpage

「えぇっ.....!?

こ、この屋敷の中へ行くんですかっ....!?」

明らかに動揺している。

するとその様子を黙って見ていた前田が、急に神山の掴む手を振りほどいた。

nextpage

「お前が行くっつーなら、俺も勿論付き合うよ。

......何か気になるんだろ?」

「ええっ、そ、そんな.....。」

nextpage

神山は不安しか感じられない表情を浮かべ、振りほどかれた腕の行方をどうしていいか分からずに固まっている。

nextpage

「あー?オッサン。

あんたは行く気ねーんだろ?

だったら、一人でここで待っててちょーだいねっ!」

nextpage

.....前田が、いやらしく悪そうな顔をしている。

本当に、人の弱みに漬け込んでいる瞬間のコイツの嬉しそうな顔は好きになれない.....。

丸山は、つくづくそう思った。

nextpage

「......わかりました。

ついて行きます.....よ。」

ガクッと肩を落とし、神山は力なくそう答えたのだったーー。

*************

nextpage

wallpaper:606

ガガガッ....ガガ....

正面の扉の鍵はかかっていなかった。

到底スムーズに開かない引き戸を、無理矢理こじ開けた。

nextpage

手前右側には、先程のリビングとキッチンのある部屋がある。

その部屋への襖が、やはり少し開いていた。

とすると、先程の「顔」は廊下へ出ていったのか.....?

sound:18

タッタッタッ.....

nextpage

shake

「!!!!!」

正面左奥の部屋に向かって、今確かに足音が消えて行った。

その先には、一枚の襖。

部屋か物置かはわからないが.....。

とにかくそこに何かがあるのだろうか。

nextpage

「見て.....みましょう。」

ミシ.....

ギシ.....

一歩歩く度に、キツそうに鳴く床。

今にも底が抜けてしまいそうな、頼りない音だ。

そしてその床の音だけが、静寂に包まれた空間で不気味に響き、妙に恐怖心を増幅させていく。

nextpage

ごくっ....

いつの間にか、神山の手は前田の腕へ戻っている。

そして、丸山がその襖へ手をかけた。

スー.......

nextpage

shake

「!!!!」

(こ、これは.....!?)

そこには、無惨に砕けた人骨が転がっていたのだった。

所々に穴の空いた頭蓋骨には、気色の悪いゴキブリがカサカサと這いずり回っていた。

nextpage

「こ、この骨は......

ま、間違いなく、子供のものですっ.....!

なぜ、こんなところに.....。」

神山が、震えながらそう言った。

nextpage

(.....やはりさっきのは子供で、この骨はあの子供のものか.....。)

丸山の予想は的中していた。

そして、同時に気づいたのだ。

この骨が、かつて「少女」に食われたあの子供のものだということに.....。

nextpage

「.......ずっと、ここで成仏できずに彷徨っているのか.....。」

丸山は、悲しそうな声で呟いた。

この場でこの遺体を弔うことは出来ない。

それでも、丸山は精一杯の気持ちで祈った。

nextpage

(どうか.....成仏してくれっ....!)

そして目の前に転がる砕けた骨に向かい、静かに手を合わせたのだったーー。

*************

nextpage

wallpaper:111

music:3

屋敷の玄関を出て、三人は裏へ回った。

案の定、そこには丸山の見た赤い祠があった。

かなり劣化が進んでいるものの、しっかりと祠にはお札が貼られ、確かにそれは「少女」を封印しているようだった。

nextpage

ここから先、封印を解いていけば、少女と赤神が解放されていく。

それによって、徐々に危険が増えることが予想される。

nextpage

丸山は、ゆっくりと慎重に祠へ手を伸ばした。

ビリッ.....

祠に貼られていたお札を破り、戸を開ける。

すると、中には先程見たあの木箱が納められていた。

その木箱を取り出し、木箱にも貼られていたお札を破いた。

nextpage

「.....今度は、右手か。」

中には、先程と動揺に生々しい肉片が付着している右手首があった。

丸山はすぐに蓋を閉じ、次へ向かおうとした......

その時だった。

nextpage

sound:18

ガシッ....!

shake

「!!!!!!!!」

shake

「う、うぁあぁああぁあ!!!」

神山が叫んだ。

同時に、丸山の腕を誰かが掴んでいる。

前田も驚愕の表情を浮かべていた。

nextpage

.....あの「少女」だ。

丸山の腕を掴み、後ろにピッタリとくっついているのが分かる。

(動か....ないっ....!)

nextpage

振りほどこうにも、身体がまるで動かない。

全ての筋肉が脳からの命令を拒否しているかのようだ。

にも関わらず、皮膚は敏感すぎる程に「少女」の霊気を感じている。

nextpage

shake

「あ.....あぁ....がっ.....!?」

丸山は、息をすることすら忘れていた。

いや、仕方を忘れたというのが正しいだろう。

それ程に丸山の脳はパニックに陥っていたのだ。

nextpage

(意識....が....。)

段々と意識が遠くなるのがわかる。

薄れていく視界の先に、二人の顔が見えた。

どうやら、二人も身動きが取れない様子だ。

nextpage

......やがて視界は闇に覆われ、丸山は気を失ったのだったーー。

続く

Concrete 59189e6fb4d79119a63e92183ffb92aeb8f46031afd97d5db060811ce15c35e6
閲覧数コメント怖い
3,02520
39
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

ガラさん、怖いを付けていただき、ありがとうございます。

わざわざ気を使っていただき、感謝致します。
あと10分程で次の話を更新する予定です。

宜しければ読んでみて下さい。
宜しくお願い致します^_^

怖い押してたんですけど、スマホがバグって押してないことになってましたww

ガラさん、コメントをいただき、ありがとうございます。
恐らく、今日中にもまた更新すると思いますので、チェックしていただけると嬉しいです^_^

宜しくお願いします。

少女に腕を掴まれたあと、、、、、、、、、
どうなるのか凄い気になって今夜は眠れそうにないなwww

リアンさん、コメント&怖いを付けていただき、ありがとうございます。

楽しみと仰ってくださって、すごく嬉しいです^_^
これからもリアンさんを楽しませられるような、面白い話を考えていきますので、また更新の際には宜しくお願い致します。

いつも更新を楽しみに待ってます。
これからどんな展開になるのか凄く楽しみです。

ロビンMさん、コメント&怖いを付けていただき、ありがとうございます。

はい、ようやく物語も終盤を迎えられました。
これも、ロビンMさんを初めとする多くの応援してくださる方々のお陰です^_^
本当に感謝いたします。

ぜひ、最後までお付き合い願えればと思います。
また更新しますので、どうぞ宜しくお願い致します^_^

やあロビンミッシェルだ。

いよいよ物語も核心に迫ってきたな!

次々と露わになって来る呪いの恐怖と共に、何か少女達の悲しみの想いも伝わってくる様だ…う…

しかし丸山氏も良き同僚を持ったもんだな、前田氏の鉄の心臓には毎回驚かされるよ…ひひ…

翔さん、コメント&怖いを付けていただき、ありがとうございます。

そう言っていただき、本当に嬉しいです^_^

翔さんのご期待に添えられるよう、また頑張って更新しますので、宜しくお願い致します。

ぜひ、次は夜寝る前に読んでいただければ......と思います^_^w

はるさん、コメント&怖いを付けていただき、ありがとうございます。

うまく怖さが伝わったようで、ホッとしました^_^
これからも、はるさんに「面白い」と思っていただけるよう、頑張っていきます!

また宜しくお願い致します^_^

酢物さん、コメント&怖いを付けていただき、ありがとうございます。

この先の展開、更に怖さを増していく.....予定ではいるのですが、それをうまく表現できるか不安です>_<

また更新の際には、宜しくお願い致します。

絶望さん、コメント&怖いを付けていただき、ありがとうございます。

バッドエンド......
どうなるのでしょうか。
もう私の中ではラストまで決まっているのですが、それはぜひ楽しみにしていただければ.....嬉しいです^_^

恐らくあと数話で終わりますが、最後までどうぞ宜しくお願い致します。

VEILEDGOTさん、コメント&怖いを付けていただき、ありがとうございます。

怖いと思っていただけたのなら本当に良かったです^_^
長編になり、毎回毎回が怖い話になるわけではない中、最初からお付き合いいただいていて感謝しております。

また更新したら宜しくお願い致します。

はなさん、コメント&怖いを付けていただき、ありがとうございます。

全部読んでいただいて本当に嬉しいです^_^

これから先、更に少女の介入がある予定となっていますので、ぜひ楽しみにしていただけたらと思います。

また更新の際には宜しくお願い致します。

夜に読まなくて良かった(-。-;
怖い(T_T)
先が気になります(^_^;)
こういう話大好き(^^)

更新お疲れ様です。

全作品よりさらに怖さが増してます…w

すごく面白いです!
次の作品が待ち遠しいです…☻w

う~ん、先が読めない・・・
このままどうなっていくのか非常に次回が楽しみです。
脱帽です。

こ、これは凄まじいことが起きた!! バッドエンドも悪くないかな(遠い目

急激に怖さを増して行ってますね(´・ω・`*)
寒気を感じてしまいました。
この怖さはやはり前と同様、それ以上かも知れません。
怖いけれど見てしまう再びです(`・ω・´)

1話目で虜なり、全部読んじゃいましたヾ(o´∀`o)ノまだまだ先が見えない、、楽しみです★☆**◦……