中編4
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人之型ー遣呂頭

これは高校時代に自分が体験した中でもっとも恐ろしい体験談だ。

あるH県で体験学習として木を切り倒す体験学習をしたんだ。

俺と友人のMとOの三人でペアになったが…

それがOとの最後の修学旅行となった。

人形之列

「お〜い!お前達!そこの林に近付くと蜂に刺されるぞ!」

俺たちは修学旅行でH県に来ている。

夏に山に入って木を切る体験学習はなかなかサイテーなものだった。

暑いし、ジメジメしてるし蚊には刺されるわで気分的にも落ちていた。

「木を切る時には木を何処に倒すかを決めてからやれよ!」

暑苦しい体育会系先生の声が響く。

「うるっせーな…なんであいつが今回の顧問なんだよ!」

Oは顔をタオルで拭きながら愚痴を言っていた。

「なあ、まさか熊とか出ないだろうな?」そこに体育会系先生が「要るわけないだろ!口を動かさずに手を動かせ!」

しかし、俺は朽ち果てた熊出没注意の看板が草むらの中から見つけた。

「おい、見ろよ笑。熊出没注意の看板があるぜ笑」

俺は朽ち果てた看板に指を指す。

Mは怖がりながらも木を切る準備を始めた。「おい!体育会系!この次は何すんだよ?」

Oが遠くにいる体育会系に向かって叫ぶ。それに体育会系は返事を返す

「次はノコギリで切るだけだ!倒す方向を決めたか?」「決めた!」

「先生も、今からそっちに行くから!」

それから俺達は早めに木を切り倒し

自由な時間が出来た。

暇な俺達は夏だってこともあり

怖い話を始めた。

怖い話が飽きた俺達は出来るだけ体育会系から離れない距離の林の中を散策していた。

すると、1メートルくらいの高さぐらいの石垣が現れた。

その下には小さな川が流れていた。

Oは石垣を飛び降り靴を脱いで川に入る。「冷えー!あぁ生き返る笑」

俺とMははしゃぐOを見ていると

Oが何かを見つけてそれを持って俺達に見せた。

「これやばくね?日本人形が上から流れてきた笑」

俺達は日本人形が流れてきた方を見上げた。

見上げた場所には小屋があるのだが

Oは引き寄せられる様に日本人形を片手にその小屋に向かっていく。

その小屋はやけにボロボロで入り口らしき物はない。

小さな窓からOは小屋の中を覗く

「うわっ!気持ち悪っ!」

小さな窓から小屋の中を覗くと畳は埃を被っていなかった、むしろ以上なほど新築したかのような綺麗な部屋だった。そして一気に恐怖に襲われた。その小屋の外側はボロボロなのに部屋だけが…。

部屋の隙間なく並べられた日本人形がこちらを睨むかのように顔だけが向いていた。玄関らしき物は目の前に見えるがただの飾りのようだった

「やべぇよ!帰ろう!」とMがOを揺らす。

Oは持っていた日本人形を部屋に投げ捨てた時だった。

「おい!お前達!そこに入ってはならん!!!」声がする方に向かうと

老人が怒りの形相でこちらを睨んでいた。しかし、驚いたのはそこではない…俺達が小屋に向かっていく途中には「禁忌」と書かれた看板は無かった筈なのに俺達を囲む様にその「禁忌」という看板があったことだった。

俺達は慌てて看板の囲いから出て

老人の説教を受けた。

しかし、Oだけが上を向いたまま動かなくなった。

老人は俺とMに「彼はあの部屋の物を触ったか!?」と聞かれたが

部屋に入ってはいないから何も触っていないと答えた。

俺達はハッと思い出した

「そう言えばOは日本人形を持っていたな?」

それを聞いた老人は携帯を取り出し

何かを叫んでいた。

それから20分後、体育会系とお坊さんが大人数でやって来た。

お坊さんは「人形を触ったのは誰ですか?」Mが「あいつです。なんなんですか?声を掛けても空をずっと見てるし…」お坊さん達はそれを聞いて話し合いを始めた

「もうダメかもしれないぞ?」

「いやまだ猶予は残っているはず」

「魅入られたら最後だ」

「私が預かります、彼の最後まで」

「わかった…もしかしたら遣呂頭様は遊んでいるだけかもしれんからな…」「えぇ…その可能性もあります。」体育会系が深刻な顔で「彼の両親には私から伝えておきます。」

話し合いを終えたお坊さん達はOの腰に縄を結び車のある方へと導いて行った。「それと君達も私のお祓いを受けなさい。」

言われるがままに車に乗り大きなお寺に着いた。

お祓いが始まり、その20分後に終わったがOだけが帰って来なかった。

それから普通に修学旅行が始まり

俺とMは落ち込んでいた。

そして修学旅行が終わり、学校を卒業してもOは一度も帰って来なかった。Oの実家を訪ねたが家族も引っ越していた。Oに会えなくなってから実に6年は経っている。

本当に彼は生きているのだろうか?

彼が本当に無事なら連絡して欲しい

人形を祀ってあるあの小屋は遥か昔からあるらしく外側はボロボロにならないらしい。

朽ちないまま今も人形達はお互いを見つめあっているのだろう。

そしてこれを投稿しようとした当日に宛先不明の手紙が届いた。

内容は「遣呂頭」としか書いていなかった。

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