短編2
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本当の七回忌

はじめに・・・・

自分的に全く怖く無い話ですが、今日しか書けない内容なので投下します。

オドロオドロを望んでいる読者は次の作品に飛んでください。

今年のお盆に親父の七回忌を行った。

少々早かったが遅いよりはずっと良いと言うことで親戚が集まりやすいお盆休み中に行ったのだ。

かきいれ時だというのに、わざわざ自宅まで赴いて経を上げてくれた住職には申し訳なかったが快く引き受けて下さったのでありがたかった。

そんな七回忌のこともすっかり記憶の奥底にしまい込んでいた今日のこと・・・

朝から変なことが続く。

平日なので当然仕事なのだが、普段は自分が手掛けない仕事が重なって入り朝からオーバーワーク気味だった。

とは言っても、全てが実績に繋がる様な美味しい仕事ばかりで大変ながら「全然問題ないよ~」的な顔で必死に頑張った。

お昼近くになって会社から電話が入った。

私が午前中にお客様の所で預かった書類が至急必要になったらしい。

暫く会社には戻れない旨を伝えると細かい内容さえ読み取れればFAXでも構わないらしい。

普通なら速攻でコンビニに駆け込むだろう。

普段の自分なら当然そうしたと思う。

でも、今日は違った。

そんな考えは微塵も無かった。

「ここからなら実家が近い!」それしか考えなかった。

イレブン・ローション・セコマ・・・・何軒もパスして実家に到着!

玄関は開いていたが母さんの姿が無い。

寝室を覗いてみると・・・

寝ていた。

「もう昼だし起こさないと」と思って声を掛けた。

「母さん、FAX借りるぞ~」

「ん~~~~?あ~andy兄来てたのかい」

眠そうである。

どうやら明け方まで知り合いの居酒屋を手伝っていて明るくなってからベッドに入ったらしい。

お盆に集まって以来、実家に帰ってなかったので近況報告。

そして、今日は何故だか本来の仕事ではない仕事がドンドン舞い込み、結果としてFAXを借りなければいけない状況になり立ち寄った話しをした。

「あんた、それはお父さんに呼ばれたんだわ~今日はお父さんの命日だもの・・・」

そうだった!

日ごろの忙しさにかまけて、そんなことすら忘れていた。

蝋燭を立て火を点けた。

線香をたき手を合わせ、いつもより余分に祈った。

ふと遺影に目をやる。

笑っている様にも怒っている様にも見える。

仕事で本州にいた為、親父の死に目にも会えなかった俺に「たまには顔みせろよ!」と親父の声が聞こえた様な気がした。

Concrete
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良い話でした(^^)
そして、実家に20年帰ってない私には耳の痛い話でしたが…

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