中編4
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ウタバコ・18

此れは、ウタバコ・17の続きだ。

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・・・・・・・・・。

斎藤の独白・・・基、僕に対するディスリスペクト祭りは謎の絶叫から始まり、其処から更に二分と三十八秒続いた。

何故、僕がこんなに正確な時間を覚えているのかと言うと、其れは単に、彼が魂の叫びを放っている間、暇潰しに公園の時計を見ていたからである。

薄情だとは言わないで頂きたい。

此れが薄塩とかピザポなら多分傷付くだろうし、恐らく余所見等もしないのだろうが・・・。

相手は斎藤・・・元Tなのだ。

嫌いだった相手に嫌いと言われても・・・。

別に。ふーんそうなんだー。

てな物である。

だったら関わって来なければ良かったのにー。

と思うだけである。

然し、そう言う訳にもいかない。僕はこいつを助けなければならないのだ。今相手を本気で怒らせるのは余り宜しい事とは言えない。

其れに、こいつの言い分も一理有るし。

なので。

僕は《何か取り敢えず適当に流しながら遣り過ごそう。》と言うスタンスでボンヤリと時計を眺めていたのである。

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・・・・・・・・・。

「・・・・・・・・・んだよ!!」

何か盛大に吐き捨てて、斎藤によるディスリスペクト祭りは終了した。

辺りは段々と暗くなり始め、そろそろ帰らないと米を炊くタイミングを逃してしまいそうだ。

・・・だが。

一応聞いてはいたのだけれど、どうしても納得出来ないことが有る。

「・・・じゃあ、小学生の頃、どうして僕と一緒に居たんだよ。」

単に薄塩のオマケでは無く、何故か一人の友人として扱われていた。薄塩が居ない時等は特に馴れ馴れしかった。そして、色々なことに巻き込まれた。

嫌いなら避ければ良かったのに、態々向こうから寄って来ていたのだ。意味不明だ。全く以て理解しかねる。

だから、其の理由を、知りたかった。

「・・・・・・。」

また黙り込む斎藤。

面倒臭い。心底面倒臭い。

然し、此処で更に何かを言うのも、何だかとても、格好悪い気がした。

僕は再び、彼が話し始めるのを待った。

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・・・・・・・・・。

少しだけ躊躇いながら、斎藤が話を始めた。

「・・・お前、薄塩しか友達居なかっただろ?」

「そうだね。」

「でも、何か・・・薄塩は、親友みたいな感じで、別に、お前は寂しいとか思ってなかったと思うんだ。」

「うんうん。」

「でもさ、ほら、俺って薄塩と同じ学校だっただろ。」

「・・・・・・。」

「・・・・・・・・・。」

「一々《うん》だの《はい》だの相槌打たなきゃ喋れない?」

「・・・・・・ごめん。」

「其の返事が肯定でも否定でもどっちでも良いから、早く続き。」

「・・・・・・紺野にとって薄塩は親友だったとしてもだな・・・えーと・・・」

「知ってる。□□君だよね?」

「・・・・・・うわ、お、え?!」

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・・・・・・・・・。

斎藤は判り易く狼狽した。

が、態々反応するのも面倒だったので、僕は敢えて言葉を続けた。

「で?そんな僕を哀れんで遊んでやってたと?」

「いや・・・その、まぁ、・・・うん。」

否定しないのか。

僕は小さく溜め息を吐いた。

「難儀な奴だな。あんたも。」

非難をする積もりは無いが、呆れてしまう。

斎藤は何故か照れた様に「へへへ。」と笑い声を上げた。

僕はもう一度、今度は深く深く溜め息を吐いた。

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・・・・・・・・・。

「で、斎藤君が僕に話をしたくない理由は分かった。けど、今回に関しては話してくれないと此方も困る。」

「困る?」

斎藤が口をへの字にして聞き返した。

僕は頷き、適当に返事をした。

「そうだよ。物事の把握が出来ない。」

「どういうことだ?」

「ウタバコについて。薄塩に助けて貰おうにも、情報が足りないんだ。」

薄塩の名前を出すと、斎藤の表情が目に見えて変わった。

「・・・薄塩?」

「二度言わすな。今までだって散々助けて貰っただろ。今回もどうにかしてくれるって。だから情報が要るんだよ。」

「どうにか・・・なるのか?」

「知らない。でも。」

縁側を降り、斎藤の顔を正面から見据える。

「色々なモノを見て来たけど、危険な目に遭った事は一度も無いよね。少なくとも斎藤君は。」

斎藤君は、暫く目線を動かしていたが、軈て一言。

「・・・おお。」

と答えた。

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・・・・・・・・・。

ピロン、と間の抜けた音が鳴った。僕の携帯からだ。

見ると、薄塩から連絡が来ていた。至急の呼び出しらしい。

「斎藤君。」

「・・・あ、何。」

「話、後で聞かせて。もう行かなくちゃ。」

「・・・・・・行くって何処に。」

「薄塩の所。じゃあね。」

僕は話しながら鳥居を潜り、薄塩の家へと足を向けた。

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・・・・・・・・・。

暫く道を歩いていると、後ろから斎藤君が追い掛けて来た。

「紺野っ・・・此れ・・・!!」

彼は、手に茶色の小箱を持っていた。

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斯くして、僕はウタバコを手に入れた・・・と言うか、押し付けられた。

蛇と女は、何故か斎藤君から離れなかった。

彼に抱き付く様にして、共に帰って行った。

箱を鞄に押し込め、薄塩の元へと急ぐ。

其の時、僕はまだ知らない。

此の後、自分がえげつない辱しめを受けることをーーーーー

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紫月花夜さんへ
コメントありがとうございます。

エンジェルさんって、確かこっくりさんみたいな遊びでしたよね。僕が小学生の頃、名前は違いましたが、やっぱり似た様な物が流行っていました。

《来ない》という事は・・・バリアか何かが張られているとかでしょうか。羨ましい限りです。

《幽霊の正体見たり枯れ尾花》なんて言葉も有りますが・・・紫月花夜さんの場合、其の逆も有り得るのでは?

ホイホイですか~~
私は遥かむかーしの中学時代にクラスメートに『私がいるとエンジェル様が来ないから、教室出てって』と言われた記憶が…
その子が言うには霊が私を嫌っていると(笑)
まぁ実際はわかりませんが~気のせいと片づけてることは多々ありますけどね~(笑)

ちゃあちゃんさんへ
コメントありがとうございます。

確かに僕も巻き込まれ体質なのかも知れませんが、斎藤に関しては彼がホイホイなんです。
ホイホイされて来るのは、殺人では無く、主にもう死んでおられる方ですが。
昔から今に至るまで事有る毎に僕と薄塩に迷惑を持ち込んで来て本当にもう勘弁して欲しいです。
なまじっか仲が良い方だから余計に厄介で・・・。

猫さんは是非御借りしたいです(・ω・`)

紺野さんは、コナンや金田一少年と同じ種類なんでしょかね〜(;^_^A自身は別にトラブルメーカーじゃないのに、面倒事に巻き込まれるという…くれぐれも、怪我などしませんように…うちの猫貸しましょうか〜(^∇^)