短編2
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子どものころ

子ども

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その存在には、不思議な力があると私は思う。

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まだ、この世界に産み落とされてわずかな

彼らは、純粋で無知だ。

その純粋さが、恐ろしい現象を呼びつけるのか。

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『子どものころ』

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私は、最近、『みえる』気がする。

小学校で一度、そのようなものを見た気がするが、

記憶の中のその映像は、おぼろで確かなのかは

分からない。

だが、中学に進学して最後の年。

学校の廊下の端に、うずくまってる者が見えたり

黒電話のような音が聞こえたり、するようになった。

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最初は、見間違いか。と、気にも留めていなかったが 毎日 必ず 同じ場所 で見るので

そういった説明もつかなくなってしまった。

不安になった私は、母にこのことを相談した。

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母も、私のような体験をしたことがあるらしく

私の話を聞いても、あまり驚いた様子を見せなかった。

『でも、あんた達ちっちゃい頃はそういうのあったからねぇ』

母が言う あんた達 とは、私と年の離れた二人の姉のことである。

『ちっちゃい頃?なんかあったん?』私は、母に

問いただした。

『うん。あんたと樹羅は(次女)は、入院すると必ず何かに怯えてたし。

穂花は(長女)は取り憑かれたこともあんだよ。』

『は!?真面目に?』

私は、驚きを隠せなかった。

『うん。多分。』

母は、その事件を話してくれた。

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穂花が、2歳半ぐらいの時の話。

穂花が突然、高熱を出した。

母が、慌てて病院に行く準備をしていたら、

穂波が、『いやだぁぁぁあ!!』と声をあげた。

母が、急いで穂花の元に行くと

体をうずくまらせ、自分の足元を指さしながら

嫌だ と叫んでいた。

『何?何が嫌なの!?』と、母が聞いてもしきりに

『いやだぁぁぁあ!!』というばかりだった。

何を思ったのか、穂花が恐る恐る足を伸ばした。

その途端

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shake

『触ったぁぁぁあ!!』

何者かが、穂花の足に触ったと言う。

恐ろしくなった母は祖母に電話をかけ、

事情を説明し、祖母の家まで車を走らせた。

その道中、車の目の前を犬のような黒い影が

ものすごいスピードで横切った。

とても奇妙なものだったという。

すると見るみる間に、穂花の熱が下がっていった。

穂波が、足元に見えていたものは、目のギョロっとした黒く恐ろしいものだったという。

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このような話を聞き、そういうものは確かに存在するのだろうと思った。

私が見えているものも、きっと同じようなものなのだろう。

子どもだからこそ見えるもの。

子どもだからこそ感じるもの。

子どもの純粋な心が呼び寄せるのか。

どんな人間もはじめは純粋で無知だ。

もしかしたら、そのような出来事は

誰しもが経験しているのではないだろうか。

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純粋な子どものころに。

END

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