中編3
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出逢いの話・2

自分のことを《木葉》と名乗った少年は、やっぱりわちゃわちゃとしながら言った。

「と、友達になってくれませんか・・・。」

珍しいと思って、驚いた。

友達というのは、何時の間にか何となく出来るものであって、態々相手の了承を得るものだとは思っていなかったからだ。

然し、断る理由も無い。

初めての同じ景色を見られる人間だ。

俺は頷き、右手を出した。

「・・・・・・えっと?」

困ったような顔になる木葉。不思議そうに俺が差し出した手を見ている。

「んー・・・?」

どうやら、意味が分かっていないらしい。

「握手。此れからよろしくな。」

「・・・あ!は、はい!」

慌てて左手で俺の手を掴み、ゆらゆらと数回揺らす。

「此方こそ、宜しくお願い致します。」

こうして、俺に新たな友人が出来た。

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~~~

木葉は、何だかよく分からない奴だった。

道端の浮遊霊らしき人影には情けない悲鳴をあげるくせに、神社の境内で蠢いている目が沢山付いているスライムのような何かには、歓声を上げながら近寄って行ったりする。

頭が抉れた赤ん坊が居る地蔵の前はダッシュで通り過ぎるくせに、頭と足が妙に獣染みた化け物の祠にはペコリと頭を下げて挨拶をする。

臆病なのかと思っていたが、一概にそうとも言えないらしい。相手に依って、態度が随分と違うのだ。

おまけに、常識というものが何だか擦れている。

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コンビニに行った時は周りをキョロキョロと見回し、物珍しそうにドリンク類が入れられたガラスケースを覗いていた。そして戸を開けようとして転けていた。更に、からあげくんを買おうとして、店員さんに声を掛けられず不発に終わっていた。

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コロコロを読ませてみると、少し困ったような顔をされた。どうやらお気に召さなかったらしい。

ジャンプならどうだと、兄の物を借りて読ませてみたが、此れもまた気に入らなかったらしく、わちゃわちゃと困っていた。

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お弁当を持ち寄って遊んだ時、まさかの一面海苔弁だった。俺の弁当の唐揚げを分けてやると、喜んでいた。

どうやら唐揚げが好きなようだ。

因みに、人参の甘煮は拒否された。

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犬が怖いらしい。かといって猫が好きなのかと言うと、其れも怖いらしい。

我が家の猫を見せると、引っ掻かないかと何度も俺に確認を入れながら恐る恐る触っていた。

家の猫・・・餅太郎は後ろ足が潰れていて、嫌悪感を抱く人も多いのだが、其処は気にしていない様子だった。

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~~~

両親が居ないのだと言った。

クラスメイトが意地悪なのだとも言った。

俺も母親と別居していることを伝えると、少し嬉しそうにされた。

細くて小さいくせに、妙に体力があった。

他の学校の友達に紹介すると、またわちゃわちゃしていた。

夏休みにはキャンプもした。木葉の家に泊まったのだが、あまりの広さに唖然とした。お祖父さんの髭がモサモサだった。

毎日楽しかった。

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~~~

少しずつ少しずつ時間が流れて、何時の間にか季節は変わり、秋。

「ちょっと遊びに行きませんか?」

そう言った彼の提案に乗った俺はーーーーーー

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mamiさんへ
コメントありがとうございます。

返事が遅れてしまいすみません。

あ、そう言えば、お兄さんの方まだ出て来てなかったですね。
僕はもうお会いしたのですが、至って普通の方でしたよ。お面は着けてませんでした。

親のトラブルで、烏瓜さんは一時期あの家を離れていたそうなんです。詳しくは・・・どうしましょう。本編に書くべきか迷っています。
デリケートな問題なので・・・。

きっと、両親関係が大きいんじゃないかと思います。いや、此ればっかりは何処までも僕の邪推でしかないのですが。

紫月花夜さんへ
コメントありがとうございます。

反抗期ですかね・・・。だとしたら、時の流れが何時の間にか解決してくれるかもしれませんね。
紫月花夜さんの仰るとおり、難しいです。

まっしろさんへ
コメントありがとうございます。

ええ。何がどうしてああなった。
初めて聞いた時は、からかわれているかと思いましたよ。

気になりますけど、そう容易く教えては貰えないでしょうね。水と称してジンでも飲ませてみましょうか。無味無臭っていいますし。

仲良くなった兄達・・・・・・。
うーん、見たいような、恐ろしいような(笑)
僕としてもこのままで良い気がします。何となく、ですが。

モンスター猫磨呂さんへ
コメントありがとうございます。

単に長い文章を書く力が無いだけですよ。
けれど、お褒めに与り光栄です。

mamiさんへ
コメントありがとうございます。

最早怖い話でも何でもないですが、喜んで頂けたのなら何よりです。

ええ。そうみたいですね。どうしてああなった。

他に遊ぶものがないからですよ。田舎ですからね。木葉さんはゲームとか持ってなさそうですし。
あ、キャンプは二人じゃなく、何人かでやったそうです。近くて広くて安全な場所ってことで、キャンプ場に選ばれたのだとか。

次回は秋の話になります。主に梨とかが出てきます。
宜しければ、お付き合いください。

YUKA Hosakaさんへ
コメントありがとうございます。

のり姉に接する時は、一周回ってロボットみたいになりますよ。年月の移り変わりと共に変わるものなのでしょうね。

お祖父さん、今でも仕事で殆ど家に居ませんからね。
以前、アルバムを見せてもらったのでさが、改まった席での写真はあっても、普段の写真は本当に数える程も無かったです。

寧ろあの落差はなんだと言うのか・・・。

残念ながら仕事上の大切なお客なんですよ。
邪険にすると、お給料にダイレクトアタックをかまされそうです・・・。
いざとなったら、其れはお給料より自身を取りますが・・・。

何度もコメント載せてすみません。
もう一度、じっくり読み直したりしたもので…
烏瓜さん、お兄さんがいらっしゃるんですね。まさか、そちらもお面?
疎遠になった理由も気になるし、そこで仲が悪くなったのも気になりますね…
烏瓜さんが木葉さんを妬んでる印象だったもので…
烏瓜さんがそう告白したお話もありましたし…

(´ヘ`;)ウーム…なぜこのような仲良しさが今のように…
まぁ、それでもお互い何処かでは信頼みたいのがあるようにも思えますが…
難しいお年頃なのですよ(笑)

出会いの話1・2と読ませていただきました。
木葉さんと烏瓜さん、今から想像できないくらい仲良しだったのですね。木葉さんが本当に可愛らしくて、頭の中で動き回っている想像を何度もリピートしてしまいます。
『わちゃわちゃ』とても素敵な表現です。笑

お二人が疎遠の間に何があったのか、私も大変気になりますが、そこのお話はきっと木葉さん次第なのでしょうね…。
理由が分かれば、お二人とも和解?されるのかも。。
(でも、今のお二人の、突っぱねながらも互いに信頼しているような関係も、勝手ながら好きなのでこのままでも個人的には問題ないのですが…(失礼

執筆ご苦労様です。
毎度ながらとても読みやすい文章に頭が下がります。

たまらん…あっ、こればかりですね…
あんなに待ち焦がれたお兄様達の出逢い話…読むのがもったいなさすぎて…分かっていただけます?この気持ち…
しかし、なかなか良く遊んでいる仲良しさんだったんですね。しかも、このお二人がキャンプ?アウトドアなイメージが全くない…
疎遠になった時の木葉さん、気になりますね。
次回も楽しみしまくりです。

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