中編6
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声。

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皆様お久しぶりです。最近時間の調整がうまくできず、その上脳みそが枯渇しているようで、なかなか作品の投稿はおろか、全ての作品に目を通す事もできない日々を送っているまりかです。

今回は実話です。フィクションが浮かびません(笑)

あまり怖くはないかもですが、当時のアタシは恐怖で号泣してしまったお話です。それではどうぞ。

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あれは確か、小学校6年生の夏休み。

まだ両親の中華料理店も健在で、アタシ達家族は繁華街の中心部に住んでいた。

近所の同級生達と、繁華街の裏手にある駄菓子屋さんでくじ付きのお菓子を買ったり、公園や大きな駐車場でボール遊びや追いかけっこをしたりして遊ぶ毎日。

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夏休みという開放感からか、いつもはできない遊びを模索するようになっていた。

連日、探検と称して街の端から端まで歩きまわり、アタシ達はいつも遊ぶ区域を少し外れた場所に、誰も住まなくなった廃屋と、潰れた廃病院を見つけた。

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繁華街にほど近い場所にあるというのに、いつからそのままなのかわからないほどどちらも荒れ果てていた。

狭い裏路地に面して廃病院、そのすぐ真裏に廃屋、廃病院と廃屋の向かって左横に駐車場。

アタシ達はその駐車場で時々ボール遊びをしていた。

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ある日。

誰が言い出したのかもう覚えてはいないが、肝試ししよう!という流れになった。

その日一緒に遊んでいたのは男女含め5人。

アタシ達は廃屋よりも廃病院の方に興味深々で、忍び込めるような場所がないか、男の子達がぐるりと調べてまわった。

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二階建ての小さな個人病院、って感じのそこは、道に面した入り口以外は高いコンクリート塀で囲まれていて、入り口右に勝手口のような通路、左に2階へ上がる鉄製の階段があった。

その階段を上がった2階への入り口だけが、ドアについた小さな窓ガラスが一部割れていて、そこから鍵を開けて中に入れそうだという事だった。

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男の子達3人はもうやる気満々で鼻息も荒かったのだが、アタシともう一人の女の子は、「不法侵入でお巡りさんに捕まったらどうするとや。」とあまり乗り気ではなかった。

男の子達は仕方なく、「自分達が2階から中に入って玄関の鍵を開けるからそこから入ってこいよ。」と言って中に入って行った。

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正面口から入れば不法侵入にはならないだろうなんて、やはり発想は小学生である。

2階から忍び込んですぐに、「うおーっ!」とか「ぎぇーっ!」とかいう情けない悲鳴を上げ、転げるようにして2階の出入り口から飛び出してきた。

「どうしたとやー。」

ビクビクしているアタシ達。

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「っていうか無理!てげ怖ぇ!中めちゃくちゃやじ!カルテとか落ちて散らばってるし、カーテンとかベッドのシーツとか、ビリビリに破れちょっててげ怖ぇじ!」

宮崎弁丸出しで騒ぐ男の子達。

それでも、まだ小学生のアタシ達にとっては十分過ぎるほどに怖かった。

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怖すぎて病院には入れなかったので、じゃあ、という事で(?)廃屋に入ろうとなった。

ところが、病院の真後ろに建つその廃屋は、何故か四方を全てコンクリート塀で囲まれていて、どこにも敷地内への入り口がない。

仕方ないので、塀を乗り越えて入る事にした。

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一人ずつ、安全を確認しながら(?)塀を乗り越え、敷地内へと入っていくと。

平屋の建物と同じ広さの庭があり、その庭の中、平屋のすぐ横に、板で蓋をされた井戸があった。

板を少し空かして井戸の中を覗いたり、庭を歩きまわったりして、気が済んだところでいざ平屋の中へ。

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みんなできゃいきゃい言いながら、でも怖いので身を寄せ合うようにして中へ入っていく。

その家の造りは不思議な造りで、玄関がどこにもなかった。

勝手口のような場所から、薄い板でできたドアを開けて入るしかなかったのだが、そのドアが。。。

勝手に閉まる。

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押さえてなければ風もないのに自然に閉まってしまうので、その辺に転がっていた長く太い木の枝で固定した。

中に入ると、まず右手に台所。

シンクなどがあるわけでなく、水道もないタイル張りの流しに、穴の空いた、かまどのようなものがある。

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その下、多分火を起こす場所に、干からびた猫の死骸が転がっていた。

じわじわとアタシ達を包み込む不安と恐怖。

それでもアタシ達は好奇心に勝てず、さらに奥へと進む。

台所の向かい側に、土の敷かれた通路を挟んで風呂場。

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その風呂場も、アタシ達がよく知っているお風呂ではなく、昔の、薪で沸かすようなタイプのお風呂で、蓋が閉められていた。

言いようのない雰囲気に、もう誰も喋るものはいない。

みんな無言でくっつき合い、恐る恐るさらに中へと進んでいく。

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お風呂と台所を挟む通路の先に、3段ほど階段があり、また木の扉。

その扉も、やはり勝手に閉まるので、そこら辺に放置されていた木の棒でつっかえ棒をした。

アタシが先頭になり、その扉を開けると、中は8畳ほどの部屋が3つ。

畳はなく、割れた板が散乱している。

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雨戸が閉められているのだが、窓ガラスというものがどこにもない。

そして、入ってすぐの部屋のど真ん中に、何故か大きなテレビだけがポツンと置かれている。

朽ちかけて隙間だらけの雨戸から、外の光が差し込んで薄っすらと部屋の中が見渡せた為に見えた光景。

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入り口のない家、井戸、猫の死骸、蓋の閉められた風呂、畳すらないがらんどうの部屋、その中に不自然に置かれたテレビ。

それだけでアタシ達を言い知れぬ恐怖が押し潰そうとしていた。

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その時。

台所からの入り口付近から動けず寄り添っているアタシ達の耳に、どこから聞こえてきたのかわからないが、明らかにこの家の中から、

「うるさいよ。。。」

という甲高い女の声が。

「。。。え。。。?」

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みんなが軽くパニックを起こしかけていた。

そこに追い打ちをかけるように。

アタシ達のすぐ近くから。

「出て行け。。。」

という低い男の声がした。

心臓が口から飛び出るとはこの事だ。

叫びそうになるのを必死に堪える。

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みんなが走って逃げたりしたら、つっかえ棒が外れ閉じ込められる人が出るかもしれないので、アタシが最後尾になり

「走ったらダメだよ!ゆっくり出て!」

と制しながら、ゆっくり慎重にドアを出た。

そして、最後にアタシが出た瞬間、ふと振り返った時。

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ドアノブに引っ掛けていたつっかえ棒が、ひとりでにゆっくりと浮き上がり、落ちていくのが見えた。

カラン!

カランカランカラン。。。

その音を合図にするかのように、みんな一斉に悲鳴をあげながら駈け出した。

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しかしここから出るには、またあの高い塀を超えなければならない。

慌て過ぎて落ちて怪我をする危険性があるので、アタシは最後まで残り、みんなに落ち着いて登るように促す。

最後の一人がみんなに助けられながら塀の上に登ったのを確認して、アタシも塀に手をかける。

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けれどもう、アタシの張り詰めた心は限界を超えていた。

アタシの前に塀に登った最後の男の子が、アタシの事を忘れて飛び降りようとしているのを見た瞬間、アタシは泣きながら助けを求めた。

「待ってよ!置いてかないでよ!」

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思い出したように手を差し伸べる男の子。

他のメンバーも、アタシの尋常ではない怯え方に気がついて、塀から次々と手を伸ばしてきてくれ、ほどなくしてアタシは敷地内から脱出した。

それからしばらく、声について議論をしてみたりもしたが、納得のいく答えが出るはずもなく、アタシ達はそれぞれの家に帰っていった。

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今でも、あの声はアタシの耳にこびりついて離れない。

およそ人が出せると思えないほどに高い声。

地の底から響いてくるような低い声。

あの声が何だったのかも、その後あの廃病院と廃屋が取り壊されたかどうかも、わからないまま。

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そしてあの時一緒にいたメンバー全員が、翌日体中に猫か何かに引っかかれたような傷ができていたのも、今も謎のまま。

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