短編1
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「普通じゃないの?」

普通の概念というものは人それぞれあるが、もちろんわたしにも他人に理解されない"普通"があった。

それは普段生活している部屋の中で起こり、あたかもそこにそうあることが当たり前と言わざるを得ない。

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ある日、友人Aがわたしの部屋に初めて遊びにくると、彼女は「綺麗な部屋だねー!」とわたしの目も憚らず、カーペットの上にごろんと寝転んだ。

「ちょっと」

「あ、ごめん…つい」

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照れくさそうに笑う彼女は何処かあどけなく、Rとはまた違ったタイプの友人だ。

彼女は高校から一緒で、Rもその存在を知らないが、たまにこうして遊んでは仕事の話や(彼女は息子がいるので)家庭の話をしている。

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shake

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―パキッ

「え…」

「A?」

―パキッ パキ…

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「ね、ねえスーちゃん…この音なに…?」

「え、なんだろう?いつもしてるけど。Aの家はしないの?」

「…しないよ…」

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ハハ、とわたしが軽く笑うと、Aはやけに怯えた様子だった。

この音はわたしが実家にいたときも自分の部屋で鳴っていたし、わたしは聞き慣れた音だ。

だけど目の前の彼女はどうも怯えてる。

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「この音ってさ…ラップ音ってやつじゃ、ないの?」

「さあ、"普通"じゃないの?」

Aは少しだけ話すといつもより2時間も早く帰った。

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そしてこの音は今でもわたしの部屋では鳴っている。

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