中編4
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「カフマン」という男 X

「カフマン」という男 X

第1話

湿った長いコンクリートの廊下を歩き、鉄の扉の前で足が止まる。

鉄の扉の前には武装した200㎝はある男が右手で静止する。

「無礼のないようにお願いします。」

野太い声と共に鉄の扉が音を立てて開く。

music:1

微かに香る紅茶の香りと鼻歌。

部屋の中に入ると一人のスーツ姿の男が椅子に座りニッコリと微笑んだ。

「やあ、君が超常現象調査委員会の…。おっと名前は聞いちゃいけないんだったね」

スーツ姿の男は紅茶を優雅に飲む

「あなたに聞きたいことが、いくつかあります。」

スーツ姿の男はニッコリ笑い頷く

「聞きたいことは、わかってます。」

「では、”極秘事項”の正体についてです。」

スーツ姿の男は真顔になり、紅茶をテーブルに置く。

「私はカフマンと呼んでくれ。」

カフマンは立ち上がり部屋にある古びた本を取り出し読み始める。

「”極秘事項”は600年前から、我々の敵だ。そして人間の手によって親玉が封印された。」

カフマンは紅茶を飲み笑う

「名前が無いのは不自由だな。では、君をルイカと呼ぶとしよう。」

ルイカは名前に納得がいかないのか

咳き込み話を始める。

「カフマン、話の続きを。」

カフマンは話の続きを話し始める。

「なぜ君達は、その正体を知りたいんだね?ああ、わかったぞ。解き放ったんだな。」

ルイカは首を横に振る

「我々ではありません。滅びた村人達が解き放った可能性が。」

カフマンは笑いながら話す

「なるほど”極秘事項”は、こちらで対処しよう。」

「しかし、政府が対応していますが…」

カフマンは様々な本をテーブルに置いて

「それは問題ない。我々の仲間に協力してもらう。武器も用意する。」

ルイカは書類を読みながら

次の質問をする。

「カフマン、あなたのことについて教えて頂きたい。」

カフマンは驚きニッコリ笑う

「私は君達に誤解される種族である。だが、我々の種族は人間とは友好関係にあり、他の種族との均衡を守ると誓った種族である。とでも言っておこう。」

カフマンはiPadをいじりながら

「我々の種族は満月に暴れ、銀の銃弾、杭が効くと思われがちだ。」

紅茶を飲みニッコリ笑う

「だが、それは大きな間違いだ。我々の種族は自由自在に変身できるし、人間の姿のまま超人ハルクの様な怪力を発揮することもできる。」

カフマンはルイカの顔を覗き込み

「だが、我々にも弱点はあるが…この話はしないでおこう。」

ルイカは真剣な表情で話を聞きメモを取りカフマンに視線を戻す。

「では、なぜ!友好関係にある我々が、なぜ満月の夜だけ人間を襲うのか!と思ってるだろうが、我々と似た種族が生まれたからに他ならないからだ。」

ここからは話が長くなるが付き合ってくれ、紅茶とお菓子は沢山ある。

今から300年前、”極秘事項”と戦争状態に入った当時、戦争に勝つために人間を食べて力を付けていた。

しかし、それが原因で人間との争いも勃発した。

このままだと、どちらかの種族が滅びるまで戦うことになるだろうと判断し、そこで私は人間に罪のない人間は襲わないと誓いを立てた。

それから罪人だけを見極め襲い、その肉を食らった。

だが、我々の仲間が捉えた人殺しは拘束から上手く逃げ出した。

首に傷を負いながらも逃げ出した人殺しが、我々と似たモノに変貌し、村人を襲ったことが原因で、あの伝説が生まれた。

満月の夜に現れる怪物伝説として。

今の現代にも存在する。

我々と彼らとは少々面倒臭い関係になっているがね。

我々は変身する際には自我は失わないが、彼らは自我を失い目の前の人間を殺していく。

話はこれで終わりだよ、ルイカ君。

カフマンは紅茶を飲み干しグラスをテーブルに置く

「それから”極秘事項”が生きたまま捕獲できるようであれば、捕獲するがいいかな?」

ルイカは、その必要性に疑問を投げかける。

「その必要がどこに?」

カフマンは手をテーブルの上で組み

「もう二度と奴らが地上を歩かないようにする為だ。”極秘事項”は死んでも魂は次の死者の体に宿る。」

カフマンは組んだ手を解き立ち上がる

「”極秘事項”だよ。言わば、精霊の類に属される怪物だ。その始まりである”極秘事項”を捕獲し、永久に地上から隔離する。」

ルイカは歩き回るカフマンを目線だけで追う。

「奴は…ある意味では不死身であるが、身動きを完全に封じ隔離してしまえば問題はない。捕獲が成功したら我々で”極秘事項”と協力し、封印する。それまで政府のほうには私から伝えておこう。」

ルイカは立ち上がる。

「カフマン、協力感謝します。」

カフマンはニッコリ笑い

「いやいや、困った時はお互い様だよ。死者が13名も出て、私の部下も君たちの調査に協力してるからね。」

ルイカはカフマンに敬礼し、部屋を後にする。

コツコツと湿ったコンクリートの廊下を歩き、真ん中で立ち止まり携帯を取り出し

「もしもし、吸魂鬼掃討作戦を実行に移す。サイキックヴァンパイアを狩るぞ!」

カフマンはルイカが出て行くと名簿を取り出して呟く

「次のお客さんは誰かな?ダンピールですか…厄介なことになりそうだ。」

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