中編3
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『 呪いの豆腐 』

俺は嫁と買い物に行った。

久しぶりに豆腐を食べたくなった俺は豆腐を手に取り、買い物カゴに入れた。すると嫁が、

嫁「それでマーボー豆腐でも作ろうかな♪」

と言ってきたので、

俺「マーボー豆腐なんか食えっかよ!俺は素で食う派なんだよバカヤロー!」

と俺は反論した。ムカついた俺は、豆腐を乱暴に元の位置に戻した。

嫁「なんか最近、私に冷たいよね~。そんなことばっか言ってると冷たいヤツだって言われるよ」

と嫁が言ってきたので、ムカついた俺は、

俺「そんな訳ねーだろ!俺はこんなに熱くなってんだぞ!」

と言い返してやった。

レジに並んで会計をした後、戻したはずの豆腐をなぜか購入していることに気が付いた。

俺「なんだこれは!なぜ豆腐がここに!?」

すると、嫁はなぜかニヤニヤしながら、

嫁「どうせまた自分で入れたんでしょ、あんた食べたいって言い出したら聞かないから」

と言ってきた。嫁にそう言われ、そんな気がしてきた俺は、

俺「そうか…」

と納得した。

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その晩、俺はその豆腐が食べたくなった。

食べたかったのに、嫁は野菜炒めなんぞ作りやがった。

俺「ふざけんな!」

嫁「いいから食べてみてよ」

と嫁が言ってきたので、仕方なく俺は食べた。

俺「うまい…」

俺は納得してしまった。

嫁「でしょでしょ♪」

嫁が調子乗って言ってきたのでムカついたから、

俺「うるせー!」

と言い返してやった。すると、

嫁「冷たいヤツ…」

と言ってきた。

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翌日、俺は酒を飲んで帰ってきたので即行で寝た。

次の日も酒を飲んだくれて寝た。

次の日も酒に溺れて寝た。

また次の日、今日こそ豆腐を食べようと冷蔵庫から取り出すと、なんと賞味期限が切れていた。

俺「なんでだ!?なんで賞味期限が切れてんだ!?」

混乱していた俺は、嫁に聞いた。

嫁「あんたが家で夕飯を食べないからでしょ、外で酒ばかり飲んで…」

俺は絶望感にさいなまれた。

死ぬほど落ち込む俺に対し、嫁は残酷なことを言ってきた。

嫁「豆腐はそのままゴミ箱に捨てて」

と。俺はムカつかず、

俺「わかった…」

と応えた。それほど落ち込んでいた。

次の日、俺は嫁に頼まれてゴミ出しに行った。

昨日死ぬほど食べたかった豆腐がこのゴミ袋に入っていると思うと、いたたまれなかった。

嫁の残酷さにムカついた。

だがこの日の夜、俺は恐怖に震え上がることになる。

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帰ったら嫁が、なぜかニヤつきながら、

嫁「ビール冷やしてあるから」

と言ってきたので、さっそく冷蔵庫を開けた。

すると今朝 捨てたはずの豆腐と同じ種類の豆腐が同じ位置に入っていた。

驚いて取ってみると賞味期限が切れたあの豆腐だった。

俺「う、うわー!!」

俺は叫んだ。

嫁「どうしたの!?」

嫁が俺に詰め寄って来た。

俺「豆腐が、今朝捨てたはずの豆腐が…!」

嫁「なんでだろうね…」

俺「わからない…」

嫁「あなたが食べなかったから帰って来たんじゃないの!?」

俺「俺のせいなのか!?」

嫁「だってあなた乱暴に棚に戻した時、素で食べるって言ってたじゃない!」

俺「そ、それで戻って来たのか…」

嫁「素で食べる豆腐のことを料理名で!?」

俺「……。ひややっこ…?」

嫁「どう書くんだっけ!?」

分からなかった俺は携帯で変換した。

変換した瞬間、背筋が凍り付いた。

俺「冷奴(ひややっこ)、冷たい…ヤツ」

嫁「わたしが最近口にしてる言葉だよね」

俺「ま、まさか…、――呪い!!?」

俺は完全にビビっていたのに、なぜか嫁は半笑いだった。

嫁は豆腐の呪いで頭がおかしくなったんだと思う。

怖くなった俺は、フタを開けて生ゴミのところに投げ捨てた。

嫁は「あっ」と言って、捨てられた豆腐を見つめていた。

嫁のいたずらな笑みが消えていたので、多分これで除霊できたんだと思う。

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確かに最近 俺は、嫁に冷たく当たり過ぎていたのかもしれない。

これをきっかけに、俺は嫁に優しく接することを誓った。

それ以来、奇妙な現象は起きていない。

冷たいヤツと言われた俺は反省し、逆にこれからはもっと温かいヤツ、温奴(おんやっこ)になろうと思った。

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