短編2
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コロの散歩

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 僕は高校3年で、長時間の机での勉強でいつも体のどこかしらが凝っていた。それをほぐすためここ2、3ヶ月で、愛犬コロの散歩を進んでするようになった。

 ちなみに言うとコロの犬種はビーグル、12歳で犬にしては高齢だ。飼い主がいうのも何だが、とても可愛い犬だ。

 その日もいつも通りの午後4時頃、コロと公園に出掛けた。

 「よし、行くぞ!」

 「ワフッ!」

 その日は真夏の夕方にしては涼しく快適だったので、コロのお気に入りの場所はすべて回った。コロはサラサラの砂場を掘ったりブランコを鼻でつついて揺らしたりするいつもの遊び方をした。

 「ハッハッ」

 「コロ、疲れたろ?帰ろうか!」

 コロは舌を出し、笑ったような顔で僕を見上げた。

 空が茜色に染まる頃、僕達は家路を急いだ。

 「もうすぐご飯だよー」

 庭先で、母が待っていた。

 「お帰りなさい、どこ行ってきたの?」

 「どこって、コロの散歩だよ」

 母は一瞬固まった。

 「どうしたの?」

 「あのね、和也、ね…」

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 「コロ、死んだの。」

 「えっ!?そんなはずは…!!」

 「午後4時前だったかしら、お薬あげようと思って行ったら、もう…冷たく、なってたの。」

 それは間違いなく、僕がコロを散歩に連れ出すより前の時間のことだ。

母は小刻みに震えている。

さっきリードを犬小屋に結んだはずのコロは、見当たらない。

 「…見に、いらっしゃい。」

 「うん。」

 僕はゴクリと唾をのんだ。

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 玄関先に小さな段ボールがひとつ。僕は駆け寄ってそっと開けた。

 

 見慣れたぶち模様。中で眠るように横たわる犬は、確かにコロだった。

 「うっ…グスッ。」

 もう何年ぶりだろうか。僕が泣いたのは。

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 「良かったじゃない、最後にお散歩できて。」

 本当にそうだ。最後まで、よくできた犬だった。どうか安らかに眠ってくれ。

     

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