マリカさんのお話、背筋どころか魂まで凍ってしまいそうです。
もうすぐ百話。
一体何が起こるのでしょう…
そんな百話に近づく八十三、八十四話。
とっておきを用意しました。
では、どうぞ…
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【八十三話】
ザワザワ…
やはり、日曜日は混んでいるなぁ。
そんなことを思いながら俺は遊園地をうろついていた。
遊園地には遊びに来たわけではない。
勿論、凄く遊びたいが、大学で課題を出されたため、それを終わらせに来たのだ。
ある一つの「仕事場」に行き、そこで働いている人の職業をレポートにまとめるという課題。
まるで小学生の職場訪問のような課題だが、この課題、意外に重要でやらないと留学確定とも言われている。
そこで俺は近所にある遊園地に行くことにした。
今日は、機械をいじくっている人が多い。
おそらく、今日は機械を調節する日みたいなものなのだろう。
五人位に聞けば、この課題は終わりそうだ。
もう四人聞いたからあと一人か。
そこで、いわゆる絶叫系の(バイキングシップ的)柱みたいのをいじくっているおじさんに聞いてみた。
「これは何をしていらっしゃるのですか?」
「ああ、コレ。これはね、皆が楽しんで乗れるように調節しているんだよ。気を付けないと事故も起きるからね。オイル塗ったり、ネジ変えたり…。まあ、そんなとこだね。」
おじさんは、不自然なく答えてくれた。
トンカチでネジを打っ叩いていること以外は。
プルルルル…
アトラクションが始まるようだ。
『皆さん、行ってらっしゃーい。』
アナウンスが流れるとアトラクションが動き始めた。
上に、下に…
揺れながらアトラクションは角度を変え、機体を高くしていく。
一番機体が高くなった時だった。
ガッシャーン
そんな音と共に空からネジが降ってきた。
アトラクションの柱はバラバラになり、機体はメリーゴーランドの方に飛んでいくと、
炎を上げて四方八方に飛び散った。
「だから言ったろ。気を付けないと事故も起きるって。」
そう言っておじさんは汚い笑みを浮かべていた。
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【八十四話】
「イテテ…」
私は思わずそう呟いた。
最近、腰痛が酷く、立つのがやっとだ。
今日は冷蔵庫に何も無くて、買い物しなきゃヤバい。
そのことを親友の友子に話すと、買い物に自動車で連れてってくれることに。
友子を家に呼び、車に乗ると、いざスーパーに出発。
友子に支えられながら買い物をしていると、友子が不意に言った。
「あのさ、そんなに辛いなら私の通ってる整骨院行く?すぐ楽になるよ!今日行く?そうだね、そうしよう!」
「あ、うん…」
ということで友子行きつけの整骨院へ行くことに。
「お薬ももらえるから、凄いいいよ。それでね…
友子は車に乗っている間、ずっと整骨院の話をしていた。
いつもテンション低めの友子が今日ははしゃいでいる。
二十分程して、やっと着いた。
「早く行こう!」
友子は走って行ってしまった。
扉を開けると、目眩がした。
友子はもう、マッサージを受けていた。
「今、お香焚いて貰ってるんだ。」
おそらくそのお香が目眩の原因だろう。
「友子、私今日はいいや。外で待ってるね。」
「え〜。」
友子は不満げな顔をしていたが、止める気は無さそうだった。
しばらくして、友子と一緒にマッサージ師の人も出てきた。
「今日はありがとうございます。友子さん。はい、コレ友子さん用の薬。アッ、お連れの方もどうぞ。」
そう言ってマッサージ師は白い袋を渡してくれた。
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それから一ヶ月も経たない頃だった。
腰痛も治り、ふとニュースを見ると、あの整骨院のことが報道されていた。
しかし、整骨院の紹介とは程遠いものだった。
「〇〇整骨院で、大量の麻薬が取り押さえられました…
私はすぐに友子の元へ急いだ。
友子の家の前に到着し、インターホンを押したが返答が無い。
試しにドアノブを捻ってみると簡単に開いた。
扉の向こうには、友子がいた。
ロープで首を吊った、友子の姿が…
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いかがでしたでしょうか。
さあ、灯篭の間にお進み下さい。
何やら不穏な予感がしますね…
作者山サン
百物語、皆様にご迷惑お掛けしました。m(_ _)m
ところで、麻薬って中毒性あるらしいですよね…