短編2
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飛翔

私が住んでいた公営住宅群は自殺の名所として有名でした。

これは私が友人に聞いた話です。

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私の友人、かりに名前を祐太郎としますが、彼曰く、私の住んでいる住宅群は戦時中の人体実験場があったということで有名でした。

ここで、あぁあそこかとピンと来た方もいらっしゃると思いますが、騒ぎ立てると問題にもなりかねませんので心の内に秘めておいてください。

今回は彼が体験した話をお聞かせしたいと思います。

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これは彼が高校三年生の時の話です。彼は将来進学か就職かで悩んでいました。

勉強は嫌い、でも何かやりたいこともない、でもまだ就職はしたくない・・・

彼なりにその日は進路について頭から煙が出るんじゃないかというほどに考えていたそうです。

煙草でも吸うか、とポケットの中を探ると空のパッケージだけが出てきました。

「ちっ、タマ切れじゃーん、萎え」

彼は仕方なくコンビニに煙草を買いに行くことにしました。時間はすでに深夜1時を回っていたといいます。

そしてさも当然のように煙草を吸っていますが、彼はまだ17歳でした、このことには目をつぶっていただきたい(笑)。

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家からコンビニまでは大きな公園を突っ切れば徒歩で10分ほどのところにあります。

当然彼は公園を突っ切ってコンビニまで行くことにしたそうです。

夜の公園は人が少なく、その敷地の大きさや街灯の少なさも相まって不気味さを際立たせていました。

足早に公園を抜けようとしたところ、

shake

「おい!」とどこからか声が聞こえました。

彼はあたりを見渡しましたが、誰もいません。気のせいか、、、再び歩こうとすると「おい!」とまた声が聞こえました。

怖くなった彼は咄嗟にハレルヤ、南無阿弥陀仏、アーメン、ぎゃーていぎゃーていとめちゃくちゃに唱えたそうです。

すると、

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shake

「おい!おい!おい!おい!おい!おい!おい!おい!おい!おい!おい!お”い”!お”い”!」と激しさを増しました。

!!!!もう彼はパニックになり、猛ダッシュで公園を走り抜けました。

走りっている最中も声は聞こえ続けたそうです。

コンビニにつくと人がいることと店内の明るさで安心した彼は、ほっとしたそうです。

煙草も無事に買って、落ち着くまで雑誌でも立ち読みをしようと雑誌コーナーに移動すると、

shake

・・・「お”い”ぃ”」

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ガラス張りの外側に目のない生首が浮いていました。

「おい!おいい!おいおいおいお”い”い”お”い”」

彼が目を離すまで、ずっとその首はうめき続けたそうです。

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数年後、公園の区画整理が始まると、頭蓋骨だけの遺体が何十体も見つかったそうです。

その場所こそ、彼のコンビニに行くまでの道その場所だったのでした。

飛翔-完-

Concrete
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