短編2
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通り道

その日、会社を出ると天気予報は外れて小雨となっていました。

家までは徒歩でも20分くらいなので、傘はもっていませんでしたがそのまま歩いて帰ることにしました。

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帰り道は大通りではありましたが、雨のせいか人通りがなく、どこか寂しい感じです。

しばらく歩いていると、女の後ろ姿が前方に見えてきました。

私は、「あー、これ追いついちゃうパターンだわ。変に後ろ歩き続けると変な誤解されそうだし追い抜くか」

と思い、女を追い越すことに決めました。

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女に近づき始めると、その履いているハイヒールの音が「コツ、コツ」と一定のリズムで刻まれていました。

私は足早に女を通り過ぎると、そのまま早歩きで距離が取れるまでは歩こうと思いました。

と、異変に気付いたのはすぐでした。

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割とはやめに差をつけられるくらいに歩いているのに、「コツ、コツ」の音の大きさは変わっていません。

それどころか、近づいてきている気さえします。

私は怖くなってきて、今まで以上の速さで歩きました。もう小走りに近い感じだったと思います。

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・・・しかしやはり距離が離れません。女の足音に変化はなく、相変わらず一定の速度で私の後ろをつけてきます。後ろを振り向く勇気もなく、

「走るか・・・」と意を決して私は走りました。

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十分に突き放したであろうと思い、耳を澄ませると・・・

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もう、女の足音は聞こえませんでした。

「よかった、やっぱ普通の人だったのか。急に走り出してむしろ驚かせちゃったかもなぁ」

と独り言をつぶやくと・・・

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「まだいるよ」

と低い声が耳元でささやかれました・・・

通り道-完-

Concrete
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