短編2
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スクーターの男

早朝5時半。朝練のために私は、家を出た。

家から10分くらい歩いたところに公園があり、そこには古びた遊具や手入れがあまりされていない木々が生い茂っている。不気味で、正直積極的に遊びたいとは思わない公園である。しかし、目的地に着くにはそこを通らなければならなかった。

すると、スクーターが向かってくる音が聞こえた。私は歩いていた。音は近づく。歩く。音はまだしている。…。おかしくないか?なぜか音は私の後ろあたりで止まってるようなのだ。

スクーターならすぐに私を抜かせるはずなのに。私は振り向いた。私の身体から20cmほど離れたところに

目がギョロッとしている

小太りの中年男性がいた。

「どこいくの?」と声をかけてきた。

私は足がすくんだ。底知れぬ恐怖がジワジワと湧き上がってきた。

「朝練に……。」

しかし、答えなけらばならない気がした。無視してはいけないようか気がした。

「そうなんだ。」

男が、手を伸ばしてきた。

私は走った。ガムシャラに走って逃げた。

あれは人間じゃない…!

スクーターに乗っていなかった。

スクーターなど見えなかった。

男だけがそこにいたのだ。

絶対に人間に出せない人工的な音だったのにもかかわらず、だ。

真後ろから確かに聞こえていたのに。

だから、私は今でもスクーターが走る音を聞くとビクっと反応してしまう。恐る恐る振り返る。スクーターが走っているのを確認して安堵する。これを繰り返していた。

スクーターの音が聞こえた。

私は振り返る。ああ、スクーターが

走っているだけじゃないか。しかし、私は次の瞬間凍りつく。

あの男が乗っていた。目がギョロッていて、小太りの中年男性だ…。前を一切見ず、

こっちをずっと見ながら走っている。

ずっと、といってもほんの一瞬の出来事だったのだが、それほど長く感じた。

しばらくして、

「今日も朝練?」

男の声が左耳のすぐそばから聞こえてきた。

Concrete
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