中編3
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公衆電話

私は心霊現象らしい心霊現象を体験したことはないが、奇妙な体験談を1つ。

小学校の思い出だ。

私の小学校は全校生徒100人程度の小さな田舎の小学校だった。

それでも、私の学年(クラス)は20人を超えていて、他のクラスより多かった。

最近は小学生でも携帯電話を持っている時代なのだろうか?

私の小さい時には携帯電話を持っている人は大人でもほとんど居なかった。

また、その頃はインターネットなんてものも普及してなかった。

しかし、何故か怖い話などは口コミで広まっていた。

特段、これ!という特定の怖い話があった訳ではない。もしかしたら、オリジナルかもしれないような、誰がどこで作ったかも分からないくだらない話を昼休みや放課後にしていた。

そんなある時、怖い話として必ずあるような、この番号にかけると・・・というのが、広まった。

お経が流れるとか、死後の世界に通じるとかそんな具合だろうか・・・。

ある日、友達が特定の番号を書いたものを持ってきた。

みんな怖がって、かけようとしなかったが、私が強がって「かけてやる!」と言い、10名くらいだっただろうか・・・公衆電話に友達と向かい、その番号にかけた。

「プルルルル・・・。」

「もしもし。私リカよ。」

友達の悪ふざけだった。それは、リカちゃん人形で有名なリカちゃん電話の番号で、みんなと爆笑してその場が終わるはずだった。

ところが、これでは終わらなかった。

私がそういう所に電話出来る人間だと思ったのだろう。1人が私に詰め寄った。

「なあ、本当にやばい番号があるんだよ!かけてくれよ。」

「えっ?もういいって!面倒くせえよ!もう今ので飽きたって!」

私たちはネタ系の別な番号だと思って取り合わなかったが、どうしても!と頼んでくる。

何でも、面白がって一度自宅の電話から電話したが、電話の向こうで変な男の声が聞こえてきたらしい。

そのうち、私は逆に面白くなってきて、万一ネタだったら、本当に怖い声が聞こえてきた!と怖がって、そいつをビビらせてやろう!と考えていた。

公衆電話に10円を入れて友達の言った番号にかけてみる。

「プルルルル・・・。」

・・・ガチャ。

「ウー・・・。オ-・・・。」

うめき声のような声が電話口から聞こえる。友達は男の声と言ったが、私には男か女かも判別不可能だった。

「おい!マジで変な声するぜ!」

怖くないわけではなかったが、私は強がって、全く怖くないふりをして、みんなに言った。

友達のうちで、一番やんちゃなヤツが私の持っていた受話器を取り上げて、耳に当てた。

恐らく私が聞いたものと同じものを聞いてるだろう。

「本当に気持ち悪いな!」

とその友達も強がって見せた。

それからは、その番号を教えた友達以外の友達で狭い電話ボックス内で受話器の取り合いだった。

聞いたものは外に出て、聞いてないものが電話ボックスに入り、全員がその謎の声を聞いた後にまた私のところに戻ってきた。

「お・・・。い・・・。」

ウーとかオーだったのが、若干言葉っぽくなっていた。

私は何か話しかけてみようと「もしもし。」と言うと、相手の声が聞こえなくなった。

だが、ひと時の沈黙の後で、「お--------!!!!」みたいな激しい声になった。

私は怖くなったが、まわりに悟られない様に受話器を平然と置いた。

・・・ガチャ。

何かが落ちる音に気付いた。

私が返却口を探ると10円玉が落ちていた。

これにはみんなびっくりしたが、きっと前の人が取り忘れて返却口に入ってたんだよ!との結論に達し、念のため、近くの商店でその10円玉を消費して帰宅した。

あの時のことを振り返ると真っ先に浮かぶことがある。

なぜ、たった10円しか入れてないのに10人くらいの人数が声を聞けるほど、通話出来たのだろうか・・・。

Concrete
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